世界中で広く使われているオープンソースのログ収集ソフト「Log4J」の深刻な脆弱性をめぐって、開発者が対応に追われている。インターネットの運用を支えるほど重要な存在であるにもかかわらず、オープンソース・ソフトウェアは無報酬の労働にほとんど頼っている状況だ。
データ科学は社会をどのように変えているのか。第一人者であるUCバークレーのジェニファー・チェイス教授が語った。
イスラエルのNSOはこれまで、悪名高いスパイウェア「ペガサス」を幾多の独裁国家に販売してきたことを非難されつつもビジネスを続けてきた。しかし、米国政府が制裁を科すことを発表した現在、存亡の危機に瀕している。
ハーバード大とMITの物理学者が創業し、楽天も出資するスタートアップ企業「キュエラ・コンピューティング(QuEra Computing)」が、256キュービットの量子シミュレーターを開発した。量子論に基づく材料や力学のシミュレーションのほか、NP完全問題を解く量子アルゴリズムの構築にも取り組んでいる。
種類の異なる大腸菌が協力し合って迷路問題を解くという、驚くべき研究が実施された。生物による分散コンピューティングが利用できるようになれば、農業や医薬品など幅広い分野の複雑な問題解決に役立つかもしれない。
誰もが「ムーアの法則」の行き詰まりを感じていた中で、オランダの企業ASMLは90億ドルと17年をかけて、不可能と見られていた極紫外線によるリソグラフィー装置を完成させ、チップのさらなる高密度化への道を開いた。
アジーム・アザールの新しい著書『指数関数的時代』は、驚異的なテクノロジーの成長が、豊かな時代につながると楽観的に予測している。だが、現実はもっと複雑であり、悲観的な見方もある。
コンピューティングが今後、どこに向かうのかを予測するには、テクノロジーの歴史を振り返るのが役に立つかもしれない。テクノロジーの進歩には常に人間が関与しており、コンピューティングの歴史は米国史のミニチュア版なのだ。
トロント大学の化学者であるアスプル・グージック教授は、これまでは20年かかったような新材料探索のプロセスを、AIやロボットを組み合わせて自動化することで、数年あるいは数カ月にまで短縮しようとしている。
ピクサー共同創業者であるアルヴィ・レイ・スミスが、コンピューター・グラフィックスの歴史をひもとく著作『A Biography of the Pixel(ピクセルの歴史)』を出版した。スミスは本書で、コンピュータグラフィックの発展に真に貢献した人物を描くとともに、「デジタル・ライト(Digital Light)」の革新性について語っている。
急成長するサイバー監視産業の実態について調査した報告書が発表された。多くの企業が製品を世界中に販売しており、今後深刻な状況に陥る可能性があると警告している。
米国立気象局は、超高性能なスーパー・コンピューターの導入を予定している。ハリケーンの進路予測、強度予測から、日々の天気予報まで、精度が大きく向上する見込みだ。
シリコントランジスタの微細化を原動力とするムーアの法則は、間もなく終焉を迎える。その一方で、シリコンの代替品は何年にもわたり提案され続けてきており、その一部は限られた用途ではあるが製品化もされている。
テクノロジー業界はダイバーシティやインクルージョンを謳っているが、実際の取り組みはほとんど宣言にとどまっている。現状を変える方法を提案する。
将来の量子コンピューターの実用化を見越したサイバー攻撃者たちは、政府や企業の暗号化された機密情報をすでに収集し始めている。米国政府はこうした新たな脅威に対抗するために、ポスト量子暗号の取り組みを進めている。
フェイスブック(「メタ」に社名変更)が今後、事業の核にすると発表した3次元バーチャル空間「メタバース」は、技術系エリートが使うばかげたキャッチフレーズのようにも聞こえるが、現実世界をよりよく変える可能性がある。
MITテクノロジーレビューのバックナンバーをめくると、コンピューターの発展の様子が目に浮かぶようだ。人類史上初めて月を周回して地球に戻ってきたアポロ8号、マルチプロセッサー・システム、ウェアラブル・コンピューターの3つの記事から、コンピューティングの発展の歴史を振り返る。
コンピューター分野における多様性の重要性が指摘されているが、その取り組みはあまりうまくいっていない。人種や性別がテクノロジーの発展に与える影響を分析しているデューク大学のニッキー・ワシントン教授が、その理由について語った。
スーパーコンピューターを使って本物の楽器の音の再現を目指す英国の研究プロジェクトは、結果として音楽の新たな可能性を開いた。音楽家たちは現実にはあり得ない楽器を、現実にはあり得ない環境で演奏するようになったのだ。
日本政府のGIGAスクール構想をはじめとするデジタル教育の取り組みでは、子ども一人ひとりに「一人1台」の端末を配布すること自体が注目されがちだ。だが、それがスタート地点に過ぎないことは、15年以上前の有名な事例からも明らかだ。
少しでも確かな情報を基に、感染者数や死者数などについて予測を立てようとしたパンデミックの試みはことごとく失敗した。程度の差こそあれ、この分野のプロである疫学者も失敗を重ねている。問題を分解し、知見を修正しながらより精緻なものにしていく工学的思考が必要なのかもしれない。
選挙結果が自らに有利になるように選挙区の区割りを操作する「ゲリマンダー」が米国で横行している。数学者らは新たなコンピューター・ツールを開発し、アルゴリズムによる客観的な検証を実現しようと取り組んでいる。
人間の脳を「コンピューターのようなもの」とみなすことはできるのだろうか? 長年、論争の種になってきたこの疑問について、複数の専門家に話を聞いた。
ゼロデイ・エクスプロイトを利用した攻撃件数の報告が過去最高を記録した。攻撃者が増加したとの見方もあるが、むしろ良い兆候である可能性がある。
2016年に起こったアイフォーンのハッキング事件の背後にいた米国企業の素性が明らかになった。アラブ首長国連邦(UAE)の諜報部員や米国人の傭兵ハッカーらは、米国企業が開発・販売したハッキング・ツールを使ってターゲットとする人物のアイフォーン を乗っ取っていた。