次期大統領が掲げる高関税政策は、バッテリーや鉄鋼など気候テック関連製品の輸入コストを数十億ドル押し上げる可能性がある。中国製品への最大100%関税をはじめとする「米国ファースト」の代償は、クリーンエネルギーへの転換を遅らせかねない。
温暖化対策において、現在世界で二酸化炭素を最も多く排出している中国に求められる役割は複雑だ。経済が急成長し、気候テック大国でもある同国には、自国の排出量を削減する以上のことを期待すべきだとする声もある。
地球温暖化の責任やそれに伴う問題解決のための費用分担を考える際に、「最大の汚染国はどこか」という単純な議論が繰り返されている。現在の排出量、歴史的な累積、人口比という3つの指標で見ると、評価は大きく異なってくる。
革命がまさに始まろうとしている——。画期的な遺伝子編集技術「CRISPR」の共同開発でノーベル賞を受賞したジェニファー・ダウドナ教授が、気候変動に対処するためにゲノム編集が果たせる役割について語った。
11月11日、COP29がアゼルバイジャンの首都バクーで幕を開けた。中心議題は気候ファイナンスだが、米大統領選の結果が重くのしかかる。
コモンウェルス・フュージョン・システムズは、2026年までの稼働開始を目指して商業用核融合炉の建設を進めている。工事は順調に進んでいるように見受けられるが、やるべきことがまだたくさん残っているのは確かだ。
石油とガスの生産量の増加、電気自動車への支援の廃止、発電所の汚染規制の撤廃、米国のパリ協定からの離脱などを公約していたトランプ次期大統領の就任は、米国の温暖化対策の大きな後退を意味する。
米大統領選でドナルド・トランプ元大統領が勝利を収め、バイデン政権が進めてきた気候変動対策は大きな転機を迎える。パリ協定からの再離脱を表明し、環境投資の見直しも予想される中、2030年の温室効果ガス削減目標の達成は一層困難な情勢となった。
人工知能(AI)の未来を巡る地政学的な闘いが激しさを増している。この闘いに勝つためには、AIを動かす膨大な電力の確保が必要だ。AIにおける勝利の鍵は、クリーン・エネルギー革命が握っている。
気候変動で深刻化するアフリカの食糧危機を救う切り札として、干ばつに強い在来作物を見直す取り組みが大きく動き出した。米国主導の新たなイニシアチブが2億ドルを投じ、「忘れられた作物」の研究開発を加速。トウモロコシなどの農業政策を推進し、世界中で現地の作物の多様性を犠牲にしてきた政策の転換点となる。
この2年間、待ったなしの気候変動対策において重要な役割を果たすさまざまなテクノロジーを紹介してきた。特に印象深いトピックを振り返りながら、今後の注目ポイントを見ていこう。
記録的な猛暑の中でも農作物の収穫作業は続けられている。熱疲労や熱中症のリスクにさらされる農業従事者たちを守るため、米国エモリー大学の研究チームは、体温や心拍数を常時測定し、健康被害を予測・警告するウェアラブルセンサーの開発に取り組んでいる。
MITテクノロジーレビューは例年、気候変動への取り組みで傑出したテック企業15社のリストを公表している。この企業リストは、気候テクノロジーについて考える際のいくつかの重要なテーマを例示している。
MITテクノロジーレビューは気候変動への取り組みで特に大きな影響を与えることが期待される企業15社を選出した。2024年版では、牛用サプリからレンガを使った熱電池まで、幅広いテクノロジー企業が選ばれている。
カイロス(Kairos)の溶融塩冷却炉テクノロジーは、従来の巨大な核分裂炉より安価で安全に運転できる、新時代の原子炉の先駆けとなる可能性がある。
化学物質の製造では大量の温室効果ガスを排出する。ソリュージェン(Solugen)の生物由来の原料と製造方法は、化学業界のクリーン化につながる可能性がある。
バイオテクノロジー企業のピボット・バイオ(Pivot Bio)は、これまでの合成肥料の代替となる、微生物を使って作物に適量の窒素を供給する製品を開発している。実際に、約4万平方キロメートル以上の農地にその製品は使用されている。
除草剤に頼ることで規模を急激に拡大してきた米国の大規模農業がいま、曲がり角にきている。除草剤に耐性を持つ「スーパー雑草」が急増し、収穫量を脅かしているのだ。化学薬品だけに頼らない対策が模索されている。
チリに本社を置くセイボ(Ceibo)は、クリーンエネルギーへの転換に欠かせない銅の不足を解消するため、新しい銅生産テクノロジーで鉱業の持続可能性を高めようとしている。
サン・キングは、電気が通っていないアフリカとアジアの貧困世帯へ、太陽光発電、エネルギー貯蔵、低排出型調理コンロを従量制モデルで提供する。
牛のゲップは、農業から排出される温室効果ガスの大きな発生源の1つである。ルミン8(Rumin8)は畜牛のメタン排出を削減するサプリメントを開発している。
フォーム・エナジーは、再生可能エネルギーの長期貯蔵用の安価なバッテリー「鉄空気電池」の商業化に取り組んでいる。2024年後半には最初の製品を顧客に出荷する予定だ。
米エネルギー省は35億ドルを投じてCO2直接空気回収プロジェクトを推進している。しかし、高額な設備投資と運用コストに見合う炭素クレジットの市場需要が不足しており、深刻な課題となっている。政府と業界は需要創出に向けた新たな戦略を模索している。
電気化学プロセスを用いて製造するサブライム・システムズのセメントは、今年初めて商業的に利用された。さらに、米国エネルギー省から8700万ドルの助成金を受け、2026年完成をめどに、年間3万トン生産する新工場を建設すると発表した。
エレクトリック・ハイドロジェンは、クリーン水素を低コストで製造できる100メガワット電解槽を開発している。BP、ユナイテッド航空、マイクロソフトなどの支援を受けて評価額が10億ドルを超える最初の電解槽企業となった。