南アフリカでは国営電力会社の設備老朽化により輪番停電が常態化している。ケープタウンなどのいくつかの都市は、再生可能エネルギー技術の進歩を追い風に、独自の電力供給体制を確立しようとしている。
水素はこれまでも、化石燃料の代替物質として常に注目されてきた。欧州各国では「グリーン水素」を精製し、各地に供給するネットワークの構築が始まっている。
気候問題などで注目されている電気自動車は、価格や航続距離、充電時間などに問題があり、広く普及するには至っていない。米国のスタートアップ企業であるクアンタムスケープが開発しているリチウム金属電池は、電気自動車の欠点を克服し、ガソリン自動車と同じくらい便利で安価な電気自動車を実現するかもしれない。
4月22日の気候変動サミットでバイデン大統領は、2030年までに二酸化炭素排出量を2005年水準の半分に削減する方針を発表した。2兆3000億ドルを投じて、自動車や発電所など特に排出量の多い業界への大胆な政策を実行し、クリーンエネルギーと気候テクノロジーのイノベーションを促進する考えだ。
ハーバード大学の地球工学研究チームは、諮問委員会の勧告に従い、2021年夏に予定していたスウェーデンでの最初の気球打ち上げを延期することに決めた。同委員会は、研究チームがスウェーデンの一般市民と討論の場を持つまでは、予備的な機器テストも含めて打ち上げを延期すべきだとしている。
テキサス州を襲った寒波による大規模な停電は多くの住民に被害を与えた。過去はもはや、将来の異常気象への安全指針にはならない。
気候変動問題に起因する災害が世界中で増加しているにもかかわらず、対策は遅々として進んでいない。テクノロジー、気候科学、経済学、物理学、政策などさまざまな分野の10人の著名人に、気候変動のリスクを軽減するために有効なものをひとつだけ挙げるとすれば、それは何なのか聞いてみた。
ビル・ゲイツが新著において、テクノロジーによる気候変動問題の解決に焦点を当てていることは、解決がより難しい政治的障壁を避けるためのように思える。気候変動が引き起こす症状に対処することを目的とした大規模介入は、新たに別の問題を生み出す可能性がある。
『How to Avoid a Climate Disaster(気候災害を避ける方法)』を出版したビル・ゲイツが、自身の気候変動に対する考え方の進化や楽観主義の限界、人工肉、温暖化対策としての植林プロジェクトの是非について語った。
バイデン政権は2月11日に、3つ目となる主要な気候変動対策を発表した。そこには、二酸化炭素を回収・除去・貯留する技術などの進歩を促す「気候高等研究計画局(ARPA-C)」創設のための作業部会の立ち上げも含まれている。
バイデン新政権が公約で打ち出していた気候変動対策をスピーディに実行に移している。パリ協定への復帰、公用車のゼロエミッション車への切り替えなどだ。ただ、現状はすべて大統領令によるもので、安定的な取り組みを担保するには法制化が必要だ。
テスラのCEOであるイーロン・マスクは、「最高の二酸化炭素回収技術」を競うコンテストに賞金1億ドルを寄付すると発表した。金額以上に、炭素回収分野に人々の注目を振り向ける効果が期待されそうだ。
上院議員選挙で民主党と共和党が拮抗し、政権与党である民主党が主導権を握ることになった。気候変動対策の前進が期待されるが、大きな改革の実行には不十分かもしれない。
世界の温室効果ガス排出量は2019年にピークを迎えた可能性があり、2020年は気候変動対策に関しては転換点であった。しかし、2020年に起こった出来事と人々の対応を見ると、先行きは暗いように思える。
米国の2020年の温室効果ガス排出量は、昨年に比べて9%ほど下落する見込みであり、ここ30年間では最良の水準となる。しかし、この減少は主に、新型コロナのパンデミックに起因する経済不況によるものであり、経済活動の回復と共に急激にリバウンドする可能性が高い。
シンガポールで、米国の培養肉企業イート・ジャストの培養肉製品に初の認可が下りた。一般消費者が初めて口にする培養肉は、チキンナゲットになりそうだ。
バイデン次期政権は、気候変動担当の大統領特使を新たに設置し、ジョン・ケリー元国務長官を任命したことを11月23日に発表した。ケリー元国務長官はパリ協定を推進した米外交の重鎮であり、同協定からの離脱を発表したトランプ政権からは180度の転換となる。
アマゾンをはじめとする大企業が「二酸化炭素排出量の実質ゼロ」を達成するために採用するカーボン・オフセット・プログラムは、削減量を過大評価し、実質的な効果が望めないばかりか、大企業の抜け穴になる可能性がある。温暖化ガス排出量を2050年に実質ゼロにする目標を掲げる日本でも同様だ。
圧力を利用して大量の熱を放出・伝達できる「熱量材料」の研究が大きな進歩を遂げている。エアコンや冷蔵庫の冷媒として使われている温室効果ガスが不要になるだけでなく、冷却器のエネルギー効率を大幅に高められる可能性もある。
バイデン政権移行チームが政権の初期段階における優先課題を示す文書を公開した。気候危機対策として、ネガティブ・エミッション、バッテリー貯蔵、再生可能水素、先進原子力、建築材への研究開発費用の投資に言及している。
植物由来の人工肉のシェアを伸ばし続けている米国企業インポッシブル・フーズは、研究体制を大幅に強化する。MITテクノロジーレビューのインタビューに応じたパット・ブラウンCEOは大胆な最終目標を語った。
国際エネルギー機関(IEA)が10月に発表した年次報告書によると、2050年までに温室効果ガス排出量「実質ゼロ」を達成するためには、エネルギー部門のあらゆる部分で前例なき変革が必要になることが明らかになった。
鉱山の採鉱廃棄物である選鉱くずを使用して大気中から二酸化炭素を除去する方法について研究する科学者が増えつつある。こうした物質が二酸化炭素と結合する際の化学反応の速度はゆっくりしているため、いかにして反応を加速させるかが第一の課題となる。
中国は、2060年までにカーボンニュートラルを達成する計画を発表した。世界最大の気候汚染国家であり、現在も石炭火力発電所を次々と建設している中国の発表を鵜呑みにはできないが、より厳しい温室効果ガス政策の導入に向けて動いている可能性はある。
カリフォルニア州のニューサム知事は、同州で販売される乗用車および小型トラックの新車を、2035年までに全て電気自動車にする計画を明らかにした。自動車業界からの反発は必至だ。