2100万人の人口を有するメキシコの首都・メキシコシティは深刻な水不足に陥っており、汲み上げられる地下水の量が降雨による補充量を上回っているせいで地盤沈下が起こっている。気候変動がこの状況をさらに悪化させる可能性がある。
甚大な洪水や深刻な干ばつの被害が世界中で発生している。これまではダムや堤防を建設する治水工事によって対応してきたが、これからは自然を利用した治水が必要だ。
今世紀中に平均気温が5℃以上上昇し、海面が上昇して多くの土地で人が住めなくなる——。気候変動の話題ではこうした悲観的な話が目立つ。だが、温暖化対策は冷静かつ着実に進めることが重要だ。
干ばつの影響で、ダムの貯水が枯渇寸前に追い込まれた南アフリカの都市ケープタウン。政府も重い腰を上げて本格的な対策に乗り出したが、それでも次の干ばつを乗り切れるかどうかは不透明だ。
世界有数の富裕国であるシンガポールは、水資源に乏しく、マレーシアからの輸入に依存している。政治や気候変動によるリスクを低減するため、シンガポールはさまざまな方法で水の自給自足を模索している。
パキスタンは水危機のリスクが最も高い国の一つであり、カラチでは水道が何日も断水することがよくある。そうした中で、農家の節水を支援することで市民の飲み水を確保しようとするアグテック(農業テクノロジー)関連のスタートアップ企業が現れている。
水をコントロールするのではなく、水と協調する――。中国のランドスケープ・アーキテクトが切り開いてきた新たなアプローチは、気候変動で今後ますます増加するであろう災害を防ぐのに役立つかもしれない。
気候変動に伴う記録的な干ばつの中でも、米国の農家は食品や衣料品の輸出を介して、事実上、水を世界中に大量に輸出している。原因は規制の甘さにある。
大西洋の広範囲にわたって循環する海流は、気候変動を理解するために重要な要素となる。しかし、直接観測する試みを進めるにつれて、この大西洋循環システムは、かつて考えられていたよりも得体のしれない、予測不可能なものであることが分かってきた。
世界銀行の予測によると、気候変動により、サハラ以南アフリカでは2050年までに数千万人が国内での移住を余儀なくされるという。すでに非合法な移住が始まっているジンバブエでは、生活を圧迫された移住先の人々と移住民との間で緊張が高まっている。
米国のインフラ法案により資金提供を受けた4基の新しい実証プラントは、「忘れられた再生可能エネルギー」と揶揄されている地熱による発電の普及を後押しする可能性がある。
国際エネルギー機関(IEA)が12月1日に発表した報告書によると、コストの低下や各国の気候変動への取り組みの厳格化を背景に、再生可能エネルギー電源の発電容量は今後5年間で急激に拡大するという。
11月前半に英国グラスゴーで開催されたCOP26気候会議では、国際的な炭素市場の確立に向けて新たなルールが策定された。しかし、このルールには大きな抜け穴があり、効果の疑わしいカーボン・クレジットの作成に拍車をかける可能性がある。
インドのナレンドラ・モディ首相が11月1日、国連気候会議「COP26」で2070年にCO2排出量を実質ゼロにするという目標を明らかにした。世界最速で成長する途上国の宣言は、大きな転換になる。
グラスゴーでの国連気候会議(COP26)が開幕した。これまで国連は気候変動対策としてパリ協定をまとめるなど、一定の役割は果たしてきた。しかしグラスゴーでの会議で何が決まろうとも、気候変動がさらに進むことは確実だ。
米国のバイデン大統領は気候変動問題を自身の政治活動の中心に据え、米国初の大掛かりな気候関連法案を成立させようとしている。その画期性と課題を識者らが語った。
フランスのスタートアップ企業が、ペットボトルの材料であるPETを酵素でリサイクルする実証用プラントを開設した。同社のリサイクル処理によって、石油からPETを製造する場合と比較して温室効果ガス排出量を約30%減少できると見積もっている。
地球温暖化を食い止めるためは、大気中のメタンを削減することが効果的だとする論文が発表された。しかし、大気中からメタンを除去する技術は確立されておらず、当面は排出量を減らすことで対応する必要がある。
世界の人口が集中する巨大都市が二酸化炭素排出量を削減するだけで、気候変動の影響を大きく緩和できる可能性がある。
リチウムイオンバッテリーのエネルギー密度を大きく引き上げる材料の開発に取り組むシラ・ナノテクノロジーズが、初の製品を市場投入した。同社の負極材料を採用したバッテリーを搭載するフィットネス向けのウェアラブル機器は、充電が5日間不要だという。
米東海岸を襲ったハリケーン「アイダ」は都市に甚大な被害をもたらした。ニューヨーク市はここ数年、洪水対策に取り組んできたが、頻発する脅威にまだ適応できていない。
8月29日に米国南部を襲った大型ハリケーンの「アイダ」がニューオーリンズにもたらした大規模停電は、高頻度かつ深刻化する気象災害に耐え得る電力システムを再構築する必要性を改めて認識させるものだ。
米上院は「クリーン電力報酬プログラム」の予算案の可決に向かっている。電力会社が販売する電力全体にカーボンフリー電力が占める割合を増やすことを狙ったものだ。政治的実現可能性を高めるために採ったこのアプローチには期待がある一方、狙い通りに目的を果たせるかどうか不安もある。
米国のバイデン政権が取り組む気候変動への取り組みの一つの柱となるのが、「二酸化炭素の回収・貯蔵(CCS)」だ。環境問題の活動家からは反対意見も根強いが、二酸化炭素排出量削減が困難な業界には必要なものだという。化石エネルギー・炭素管理局の幹部に狙いを聞いた。
オゾン層を回復させるためにフロンガスの削減を決めた1987年のモントリオール議定書は、地球温暖化防止にも有効であったことが分かった。同議定書の成功から得られた教訓を温暖化ガス削減に生かすときが来ている。