最低でも1000万ドルを投資する用意がある人だけが参加できるという、抗老化(アンチエイジング)カンファレンスが2022年9月末にスイスで開かれた。学術的成果を挙げている科学者、誇大広告を振りかざす人物などが入り乱れた様子をレポートする。
新生児はなぜ、それほど長い睡眠を必要とするのか。新たなツールは、急速に発達する新生児の脳の中で何が起きているのかを明らかにするのに役立つかもしれない。
亡くなった人から採取した精子や卵子を使って子どもを作ることができる。だが、死後の人物がその意志を示すことはできない。どのようにすべきだろうか。
生物学的年齢は、健康寿命があと何年残っているのかを示す手がかりを与えてくれるものだ。野菜中心の食生活を送り、定期的にヨガに勤しんでいる記者は、平均的な人よりも生物学的年齢が若いと信じていた。ところが検査の結果は意外なものだった。
デンマークの研究チームは、グリーンランドの凍土からDNAを取り出し、マストドンや魚、植物を含む、200万年前の現地の生態系全体を把握することに成功した。
AIシステムが、バイアスなく正しく動いていることを確認する「AI監査」を実施する企業が増えつつある。しかし現状では、「正しい」監査のやり方を決める動きもなく、監査結果の公表についても決まりはない。今後、AI監査はどのように発展させていくべきだろうか。
科学者たちは近いうちに、ヒトの皮膚や血液の細胞から卵子や精子を作れるようになるかもしれない。子どもを授かるための新しい方法になるとの歓迎する声もある一方、それが将来どのような意味を持つのか? 議論すべき点は多い。
遺伝子疾患を持つ胎児を対象とした治療の症例が報告された。治療開始を早めることで、やがて子どもへと成長する胎児のQOLを改善できる可能性を高めらるのが狙いだ。胎児に実験的治療を試すことには倫理的課題は何か?
米国のバイオサイエンス企業のコロッサルは、遺伝子編集技術などを駆使してフクロオオカミやマンモスの復元を目指している。復元担当ディレクターを務めるサラ・オードが、同社の野望について語った。
脳の活動を追跡して最適化してくれる埋め込み式の機器の開発が進んでいる。脳に電極を埋め込んで脳の信号を読み取り、うつ状態に向かいそうなときには電気刺激を与えて脳の活動を正常化するというものだ。
生殖医療技術の進歩により、遺伝的な親が4人以上いる子どもが生まれるかもしれない。「親であること」の本当の意味を考え直す必要がありそうだ。
病気の診断に使われる世界保健機関(WHO)の国際疾病分類が今年、およそ30年ぶりに改訂された。改訂版では、「老化」が正式な病気の1つになる見通しだった。最終的には後退したが、医学界からは賛否の声が上がっている。
人工的に培養した代替肉の研究が世界中で進んでいる。ただ、解決の目処が立っていない課題は少なくない上に、人工培養肉が消費者に受け入れられるかどうかも疑問だ。
生物工学分野のイノベーターたちは、機械学習、遺伝子療法、遺伝子解析、クリスパー(CRISPR)により新境地を切り開いている。AIの力で、さらに進化させるにはどんなことが必要なのだろうか。
「人間の脳細胞を移植された動物は、人間に近い存在になり、より道徳上保護されるべき存在になるかもしれない」。このように予測する科学者もいる。考えを進めると、人間のクローンを作るという話にまで到達してしまう可能性がある難しい問題だ。
北半球がインフルエンザ・シーズンに突入しようとしている今、新型コロナウイルスの感染者数も再び増加傾向に。「ツインデミック」の到来が懸念される。
スタンフォード大学の研究チームが、高齢者などの歩行をサポートするエクソスケルトン(外骨格)デバイスを発表した。機械学習を利用し、歩行に問題を抱える一人、一人に寄り添う補助が特徴だ。
ミツバチの巣の内部状態を監視し、尻振りダンスをして餌場に誘導したり、女王蜂の近くで世話をしたりするロボットを作る研究が欧州で進められている。技術と自然の共生という点で興味深い取り組みだ。
スタンフォード大学の研究チームは、実験室で培養したヒトの神経細胞の塊(オルガノイド)を生まれたばかりのラットの脳に移植し、ラットと共に成長することを示した。研究チームは人間の脳・神経疾患の研究に役立つとしている。
人体を冷凍保存し、未来に蘇生させるというアイデアは、何十年も消えずに残っている。実現の目処が立っていないにもかかわらず、希望が捨て去られることなく、さらに大きくなっているのはなぜだろうか。
臓器によく似たミニチュアサイズのオルガノイドは、これまで研究用途で使われてきた。だが、今後は病気の治療に使われるようになるかもしれない。
出生前の遺伝子検査が標準的な妊婦健診として普及している米国では、これから産まれてくる子どもの性染色体異常が見つかることが増えてきている。しかし性染色体異常によって、家族と子どもに何が起きるのかを正しく知らせてくれる医師は少なく、不安を与えている。
ハーバード大学などの研究チームが、適応学習アルゴリズムを用いて食事中の炭水化物量を計算し、インスリンを自動注入するデバイスを開発した。患者の負担を減らすと同時に、従来手法より血糖値を下げられることから、患者の生活の質を高めるのに役立ちそうだ。
鼻や口から吸入する新型コロナワクチンが中国とインドで相次いで承認された。従来の注射型ワクチンとの併用による効果が期待されているが、まだ疑問点は多い。
幻覚剤の科学的研究が米国でこれまでになく活発になっている。微量であれば、PTSDやうつ病などに効果があるとの研究結果も出始めている。特に、産後うつ病などに悩む女性に大きな恩恵をもたらす可能性がある。