世界初の心臓の異種間移植で使われたブタを作ったバイオテクノロジー企業の創業者マーティン・ロスブラットは今、ヒトに移植できる臓器を限りなく作り続ける工場を実現しようと奔走している。
遺伝子療法では、改変した遺伝子をいかにして体内に導入するかが課題となる。米国のスタートアップ企業クリスタル・バイオテックは、米食品医薬局が初めて承認した塗り薬による遺伝子療法を、13歳の少年に適用していることを明らかにした。
慢性疼痛の患者の脳波を測定した新研究によって、個々人に合った治療法の扉が開く可能性がある。
スタンフォード大学の研究チームは、温度と圧力を検知するセンサーを内蔵するやわらかい電子皮膚を開発した。この電子皮膚を使えば、感覚をフィードバックする、より使いやすい義肢を開発できるかもしれない。
カリフォルニア大学などの研究チームが、47人の多様な人々のDNAを1つの巨大な遺伝子地図帳にまとめた「パンゲノム」を発表した。私たち一人ひとりをユニークな存在にするDNAを解き明かすかもしれない。
マイクロプラスチックは、今や地球上のあらゆるところに存在し、人間や動物の体内にも残留している。海鳥を対象に実施された新たな研究では、腸内細菌叢に影響を及ぼす可能性が明らかになった。人間に悪影響を与えることはあるのだろうか。
体外受精で作られた複数の胚の遺伝子検査をして、将来、疾患にかかるリスクが最も小さい胚を選べるようにするサービスが登場した。提供会社の広報を務める米国初の「試験管ベビー」が、自身の生い立ちやサービスの内容について語った。
新型コロナウイルスの起源に関する論争が3月下旬、再燃した。新型コロナウイルスを持ち込んだのがタヌキである可能性があるというものだ。
命にかかわる脳の疾患を持つ赤ちゃんに対し、生まれる前の外科手術が米国のボストン小児病院らのチームによって実施された。手術は成功し、赤ちゃんは現在、元気に生後7週目を迎えている。
空気清浄目的を観葉植物を設置しても、効果はさほど大きくない。フランスのスタートアップ企業は、遺伝子組み換えで大気汚染物質の除去能力を高めた植物を作った。
テキサス大学の研究チームは、非侵襲性の脳コンピューター・インターフェイスを使って、考えていることを文章にする実験に成功した。同時に、脳の解読がもたらすプライバシーへの影響についての懸念を表明している。
脳の活動状態を示すデータを取得できる消費者向けの機器が登場し、活用が始まりつつある。だが、脳活動を示すデータから、思考を推測されるなど、危険な事態を招く可能性はないのだろうか。
生物のコミュニケーションと聞くと動物あるいは植物を思い浮かべる人が多いが、実は菌類も他の多くの種と「会話」をしている可能性を示す研究が進んでいる。
生物学的年齢を割り出す「老化時計」はどの程度、信用できるのだろうか。そして、その測定結果を受けて私たちは何をするべきなのだろうか。
化学汚染物質が人体に悪影響を与えることは明らかだと思う人が多いだろう。しかし実際には、分かっていないことが多い。
3月にロンドンで開催されたヒトゲノム編集国際サミットでは、進行中の治験の成果がいくつも報告された。臨床現場への早期投入も期待されるが、費用が大きな問題となっている。恩恵を受けられる人々の大部分は貧しい国で暮らす一方、治療されるのは経済的に豊かな国の人ばかりだ。
私たちは周りに存在する微生物の遺伝子を改変して、病気の治療に役立てようとする研究が進んでいる。マウスによる実験では、この手法によってがん細胞の増殖を抑えられるという結果が得られた。
卵子と精子を使わずに作られる合成胚がますます本物に近づいていることで、厄介な倫理問題が浮上している。その1つに、ヒト胚に対する実験を14日間に制限するルールを適用すべきかどうかがある。
中国の研究チームが、サルのES細胞(胚性幹細胞)から「人工胚」を作成し、サルの子宮に移植して妊娠したような反応を作り出すことに成功した。今回は途中で発達が止まったが、いずれは胎児にまで成長するかもしれない。
重篤な遺伝性疾患を防ぐための「3人の遺伝的親を持つ赤ちゃん」の手法を不妊治療に用いることは、科学者から批判を浴びてきた。だが、最近の臨床試験によって風向きは変わりつつある。
脳に埋め込んだ電極から脳の状態を読み取り、必要に応じて電流を流して刺激する治療法の研究が進んでいる。だが、電極から読み取ったデータが治療のためだけに使われるとは限らない。脳のデータの使用方法、保護方法についても考え始めることが重要だ。
うつ病を抱えるボランティアの脳に14本の電極を埋め込み、電極が出力する情報から人の「気分」を解き明かす研究が進んでいる。電気刺激を送り続けることで症状を抑える取り組みも進んでいるが、治療法として普及させるには課題も多い。
うつ病などの治療を目的に、さまざまなニューロテクノロジーの手法が研究されている。脳を切開して電極を埋め込む方法は「侵襲的」とされる一方で「非侵襲的」とされる治療法は本当にすべてが非侵襲的ではないのだろうか。
「ミトコンドリア病」という重篤な遺伝疾患を防ぐ手段としての「3人の親」から子どもを作る手法は、完全な対策にはならないことが明らかになりつつある。
幻覚剤の研究が注目を浴びている。うつ病や不安症などの精神疾患に加えて、最近では「肥満の治療に効く」との論文も発表された。期待の一方で、過剰な「宣伝バブル」との批判も多い。