上海の復旦大学の研究者らは、先天性難聴の子どもの遺伝子治療に成功したとの成果を10月下旬に発表した。中国は欧米諸国相手に遺伝子治療の分野で一つ勝ち星をあげたことになる。
まもなく米国で認可されると見られる鎌状赤血球症の遺伝子療法の治験に参加した患者が、自らの経験と考えを語った。
VR(実質現実)を使って鎮痛効果を得ようとする研究が進んでいる。血液採取や点滴の痛みを軽減する子ども向けデバイス「スマイリースコープ(Smileyscope)」は、臨床試験でその効果が証明された。
バーテックス・ファーマシューティカルズは、CRISPRの技術を応用して、鎌状赤血球症の遺伝子編集療法を開発し、2023年中にもFDAの承認を得る見込みだ。しかし、CRISPR技術の特許権をめぐる法廷闘争が、新薬の普及を妨げるかもしれない。
他人が心の中で何を考え、何を感じているのか、外部から読み取ることはどこまで可能なのだろうか? 科学者たちは、現代的な人工知能を歴史的な手法とを組み合わせることで、この難問に取り組んでいる。
月面探査コンテストなどで知られるXプライズ財団が、高齢者の認知、免疫、筋肉を少なくとも10年分若返らせる治療介入に対して、総額1億ドル超を提供するコンペを発表した。多くの研究者が興味を示しており、老化分野の研究を加速する可能性がある。
神経科学の研究が進むにつれて、死ぬことはプロセスであり、生と死の間に明確な境界線はないことがわかってきた。死のプロセスをより正確に理解できれば、死を迎えたが体はまだ比較的無傷である人たちを救えるようになるかもしれない。
抗ウイルス創薬を競争的なプロセスではなく、協力的なオープンサイエンスにする取り組みが始まって3年半が過ぎた。その成果がサイエンス誌に掲載された。
遺伝子編集テクノロジーCRISPR(クリスパー)が、HIV治療の新たな可能性を開いてる。米国のベンチャー企業が、HIVを持つ3人の患者に対して、遺伝子編集ツールを用いてHIVウイルスを破壊する試験を実施した。
イスラエル・ガザ紛争をめぐって学術界が揺れている。通説に従わない意見を述べる学者を吊るし上げる者がいる一方で、そうした動きは科学者たちの言論を糾弾しようとしていると警戒する者もいる。
秋が深まり、RSウイルス感染症が流行する兆しが見えている。だが、RSウイルスから子どもたちを守るはずだった「ニルセビマブ」と呼ばれる新しい薬の供給は不足している。
遺伝子改変T細胞を用いたがん治療が、固形腫瘍にも有効であることを示す研究結果が発表された。研究チームによると、mRNAワクチンを併用することで、より効果を高められる可能性があるという。
2015年、西欧の海岸に点在しているカサガイという海貝が持つ歯が、自然界で最高の引張強度を持つことが明らかになった。そして2022年、英国の研究者がこの歯の素材を人工的に合成することに成功した。大規模生産が可能になれば、防弾チョッキの材料にも使えるかもしれない。
パーキンソン病の患者が脊髄へのインプラント手術により、歩行能力を取り戻した。埋め込んだ装置が電気信号のバーストを脊髄に送り、神経を刺激することで脚の筋肉を動かさせる仕組みだ。
中国の研究チームは、遺伝的な要因による先天的難聴の子どもの聴力を、遺伝子療法で回復させることに成功したと発表した。治療を受けた子どもは、母親の声を聞いたり、音楽に合わせて踊ったりできるようになったという。
人間の寿命を延ばす研究が花盛りだ。才能ある研究者が続々と参入し、億万長者が熱心に資金を提供している。だが、まだ日陰の存在だった頃からこの分野に取り組んでいた研究者の人生をたどると、永遠の命にどれほどの意味があるのか考えてしまう。
ニューヨークに拠点を置くスタートアップ企業ガメト(Gameto)は、体外受精にかかる期間を大きく短縮するテクノロジーを開発している。同社のCEOは、自社が開発している技術の実験に自ら参加した。
ヒトの脳細胞の位置とそれぞれの役割などを詳細に記述した「全脳細胞アトラス」が発表された。同様の試みは過去にもあったが、今回のアトラスは前例のない解像度で脳細胞を描き出している。
MITの研究チームが、炎症性腸疾患(IBD)の兆候を検出する錠剤大の飲み込めるセンサーを開発した。炎症に反応して光る大腸菌を利用し、体外に無線で送信する。
男女の免疫応答がどのように異なるか。その違いが病気や治療にどう影響するのか。長年、重要ではないと考えられてきた生物学的な性差をめぐる研究が、注目を浴びるようになってきた。
鳥インフルエンザのせいで毎年何百万羽もの鳥が死に、最近では哺乳類の間にも感染が広がり始めている。英国の研究チームは、ニワトリの特定の遺伝子をクリスパーで編集すると、鳥インフルエンザにかかりにくくなることを実証した。
壁一面のLEDスクリーンやセンサーを設置し、AIトレーナーが個別指導する本格的なスポーツジムが米国で登場した。人間のトレーナーに抵抗感がある人にも利用しやすいのが特徴だ。
ペンシルベニア大学のカタリン・カリコ特任教授とドリュー・ワイスマン教授が、メッセンジャーRNA技術の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した。mRNAは新型コロナ・ワクチンの基盤技術として知られているが、その用途はワクチンにとどまらない。
人工子宮の臨床試験が近づいている。人工子宮は超未熟児に子宮に似た環境を提供する医療機器だ。研究はどこまで進み、どのような問題があるのか。現状を解説する。
脳インターフェース企業のニューラリンク(Neuralink)が被験者を募集している。同社のオーナーであるイーロン・マスクは新しい機器によって高速通信が可能になるという。専門家の意見を聞いた。