遺伝子編集技術のクリスパーを用いて、病気やけがによる痛みを感じなくする疼痛治療法が研究されている。痛みを感じない体質を持つ人を調べて発見された遺伝子変異をターゲットとするこの遺伝子療法は、いずれ適用範囲が広げられ、一部の人が持つ超人的肉体能力の恩恵を一般の人も享受できるようになるかもしれない。
幹細胞から作られる人工的なヒト胚から人間が誕生するのは、そう遠くない未来の話かもしれない。研究者らは、人工胚から人間を作り出すことを禁じるための法整備が必要だと訴えている。
ハーバード医科大学院の研究者たちが、人間の肝臓を過冷却した後、27時間後に温かい血液を輸血することで、その機能を回復させることに成功した。人間の臓器を体外で長時間保存できるようになれば、臓器移植を待つ患者の命を救える可能性が高くなるだろう。
臓器移植の拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤「ラパマイシン」が、老化に伴う免疫低下を改善することが動物実験で分かっている。人にも同じ効果が見られれば、人の老化の予防に役立つかもしれない。最初の研究結果は、1年以内に明らかになるという。
米スタートアップが遺伝子編集で作り出した「角のない」牛の遺伝子に、細菌のDNAが混入していることが、米国食品医薬品局(FDA)の調査で判明した。発見されたDNAが牛やそれを食べる人間に影響を及ぼす可能性は低いとしているが、同社の目論む遺伝子編集による牧畜業革命は停滞を余儀なくされている。
生物の体内で働くタンパク質の機能はタンパク質の形状によって決まる。現在使われている2つのタンパク質構造測定法は、異なる測定結果を導き出すが、両者の結果を比較することで、タンパク質の形状をより正確に理解できる可能性がある。
老化に関わる遺伝子のスイッチのオン・オフを切り替えるエピゲノム編集技術で、マウスの若返りが実証されている。ソーク研究所の研究者らは、この技術を人に応用すれば、人の寿命を30~50年は伸ばせるかもしれないと考えている。
DIY遺伝子編集キットに「自己投与しないように」との警告文の記載を義務づける法律が、来年1月にカリフォルニア州で施行される。当局に対して挑発的な態度をとるバイオハッカーがターゲットとみられるが、現在、法律の規制対象となるようなキットは販売されておらず、今後も販売される見込みはない。
遺伝子編集ベビーの誕生を発表して世界を震撼させた中国人科学者は、富裕層向けの医療観光ビジネスを計画していた。「3人の親を持つ子ども」を誕生させたことで知られる中国人医師とも事業協力について話し合っていたという。
遺伝子組み換えの技術者は、人々の健康と娯楽のために合成カンナビノイド作りたいと考えている。しかし、公衆衛生に有害な影響をもたらせば、人々から反感を買うことになるだろう。大麻産業に参入するバイオテクノロジー企業は、ビジネスチャンスと道徳心のせめぎ合いに苦心している。
昨年11月、遺伝子編集された双子の赤ちゃんが中国で誕生したニュースが世界を震撼させた。その際の情報によると、遺伝子編集された胎児を妊娠している女性がもう一人おり、すでに誕生していてもおかしくないはずだ。しかし、中国当局は3人目の遺伝子編集ベビーの誕生について、現時点では口を閉ざしている。
「意識」はつい最近まで、研究者にとってタブーとされていた研究題材だった。オーストラリアのモナシュ大学の研究者らは、ハエの意識を測定する新たな手法を開発し、意識が覚醒しているハエとそうでないハエを、検査によって区別できることを見い出した。
心停止になった際に、手遅れになる前に外部に助けを求められるアプリケーションをワシントン大学の研究チームが開発した。心停止時に患者が発する特徴的な呼吸音(ギャスピング音)を聞き分けるように訓練した機械学習アルゴリズムを利用する。
ハーバード大学の遺伝学者であるジョージ・チャーチ教授が共同創業したイージェネシスはいま、移植用ヒト臓器の深刻な不足を解決するために、遺伝子を改変したブタの臓器を使った実験をしている。現在、サルで試験をしている段階だが、ブタの臓器を人間で試す前に克服しなければならない重要な問題が依然としていくつかある。
中国の研究者が昨年誕生させた「遺伝子編集ベビー」について、新たな研究結果が発表された。ある研究者が「UKバイオバンク」に登録されている人々の遺伝子情報を調べたところ、同様の遺伝子変異を持つ人々が短命であることが分かったという。
「リキッド・バイオプシー」の先駆者として知られるジョンズ・ホプキンズ大学のバート・フォーゲルシュタイン博士らが実用化へ向けて新たな企業を設立した。がんを早期発見することで、治療を施しやすくするという。
ケンブリッジ大学の研究チームは、大腸菌の全遺伝子の置き換えととともに遺伝コードの書き換えに成功した。自在な物質を合成できる細菌の作成もいずれ可能になるかもしれない。
脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する遺伝子療法の治療薬「ゾルゲンスマ」が米国食品医薬品局(FDA)に承認された。200万ドルという高額な遺伝子療法は、保険市場に混乱を引き起こす恐れがある。
DIY遺伝子療法で有名なバイオハッカーが、無免許での医療行為の疑いで、近くカリフォルニア州当局の聴取を受けることが明らかになった。
スマホカメラを利用して自宅で尿検査を実施できるシステムが英国で初めて商用展開され、その結果が発表された。これまで検査を受けなかった人々の多くが受検し、医療費の削減が見込めることがわかったという。
ハーバード大学医科大学院の研究チームが、心臓内部を自律的に移動できるロボット・カテーテルを開発した。ゴキブリの移動にヒントを得たという。
早産で生まれる赤ちゃんは、毎年1500万人にも及ぶ。早産の可能性を予測できれば、その命を救えるかもしれない。スタンフォード大学のステファン・クエーク教授はリスクの低い血液検査による予測方法を開発し、商用化に取り組んでいる。
トランプ大の1000ドルDNA解読機が科学の現場を変えようとしている。巨大企業に挑む英国のオックスフォード・ナノポアは、新たな市場を創出できるだろうか。