尿中マイクロRNAによるがんリスク検査を提供するクライフ(Craif)の創業者、小野瀨隆一は、サイエンスこそが人類を人類たらしめていると信じるディープテック・スタートアップの経営者だ。
米国の森林を代表する巨木として知られるアメリカグリは、約100年前に侵入した真菌の胴枯病で40億本が消滅した。米バイオスタートアップのアメリカン・カスタネアは遺伝子組換えで病気に耐性を持つ新品種を開発し、絶滅危機の樹木の再生を目指している。
1960年代の「緑の革命」により、世界は人口増加による飢餓の問題を回避できた。最近では、気候問題が農業生産高に及ぼす影響を緩和するため、クリスパーなどの遺伝子編集技術に基づく、新たな緑の革命が黄金期を迎えつつある。
昆虫による刺咬を介して感染するオロプーシェウイルスが、前例のない広がりを見せている。ウイルスの遺伝子が変化して哺乳類に広がりやすくなったことに加え、毒性も強くなっており、妊娠中の胎児に影響を及ぼす可能性がある。
悪者扱いされがちな体脂肪の中でも、臓器の周囲に蓄積される内臓脂肪は、多すぎると健康に悪影響を及ぼすとされている。内臓脂肪を測定する簡単な方法として注目されているのが、「SAD」という測定法だ。
テック企業は、私たちの思考を推論するのに使用される可能性のある脳や神経のデータをすでに収集している。カリフォルニア州はこうしたデータを個人情報として保護する州法を新たに制定した。
長距離の宇宙旅行では、有害放射線や微小重力、心理的な負担により、健康に悪影響が出る可能性がある。宇宙旅行の夢が現実味を帯びる中、宇宙飛行士に遺伝子編集を実施すべきだと主張する科学者もいる。
CRISPRの発明でノーベル賞を受賞した2人の科学者が、欧州での特許2件の取り消しを求めている。欧州特許庁の「不当な判断」に対抗する措置。10年続く特許紛争に新たな展開をもたらし、ライセンス料への影響も懸念されている。
遺伝子編集ツールはどんどん進化しており、現在は少数の人が保有している有用な遺伝子突然変異の恩恵を、将来は多くの人が受けられるようになるかもしれない。人類という種の未来にとって、それは何を意味するのだろうか。
例年の季節性インフルエンザに加え、米国では鳥インフルエンザのH5N1型が畜牛にも感染拡大。専門家は新型インフルエンザ発生のリスクを警告する。ワクチン接種や生乳回避など、個人でできる対策と、監視体制の重要性とは?
鳥インフルエンザの牛への感染は確実に広がっており、そのことを示す証拠がいくつも見つかっている。専門家は実態がさらに深刻である可能性を指摘し、対応の遅れを懸念。ウイルスの進化と新たな感染経路の出現で、世界的なパンデミックのリスクが高まっている。
実世界の実物大のシミュレーション環境を構築することで、脳が周囲の環境にどう反応するかを調べる研究が英国で進められている。この研究から建築の未来が形づくられるかもしれない。
公衆衛生システムに対する不信感が、HIVとエイズに関する長い間否定されてきた考え方を復活させ、疾病予防の基礎に疑問を投げかける広範な運動が米国で広がりを見せている。
遺伝子検査の発展により、卵巣がんのリスクを事前に知ることが可能になった。だが、その結果は新たな難題をもたらす。予防のために臓器を切除するという選択を迫られた筆者が、現代医療が直面するジレンマと、がん予防の最前線を探る。
呼気の生体指標をリアルタイムでモニタリングして健康状態を把握できるマスクをカリフォルニア工科大学が開発した。医療用以外にも、飲酒検査などさまざまな用途が考えられるという。
科学の進歩や前例のないレベルの投資により、長寿分野はかつてない盛り上がりを見せている。いくつかの重要な研究は、人間の寿命をさらに延ばし、老化の兆候を逆転させられる可能性を示している。
ラセンウジバエによる畜産業への被害が深刻化する中、ウルグアイの研究チームが新たな対策に挑んでいる。CRISPR(クリスパー)遺伝子編集技術を用いた「遺伝子ドライブ」で、繁殖を抑制。従来の不妊虫放飼法を超える効果が期待されるが、野外実験への道のりは長い。
脳波計が誕生してから今年でちょうど100年になる。この機器によって、神経科学の研究は長足の進歩を遂げてきた。そして脳波計にはまだまだ有用な使い道がありそうだ。最新の研究成果の一例も合わせて紹介しよう。
人間が食欲を感じる仕組みは、長い間謎に包まれていた。しかし、脳に着目して研究を続けてきた科学者が、その謎をようやく解き明かそうとしている。解明できれば、究極の減量薬の開発も可能になるかもしれない。
スタンフォード大学の研究チームが25歳から75歳までの108人から収集した生物学的データを分析したところ、従来の緩やかな老化の概念を覆す発見があった。分子レベルで急激に老化が進むポイントが40代と60代の2度あることが明らかになったという。
微生物を利用して廃棄プラスチックを分解する方法はこれまでも研究されてきた。だが米国国防高等研究計画局(DARPA)のプロジェクトでは、廃棄プラスチックを食べる微生物を人間の食糧として利用する研究が進んでいる。
米国ニューヨークに拠点を置くスタートアップ企業が、人間が考えているときの脳の動きを映像化することに成功した。電極で思考を読み取れるようになれば、言葉を交わさずともコミュニケーションできるようになるかもしれない。
米政府研究機関は、老衰による死を回避するために体のすべて、脳まで含めた入れ替えを提案している研究者をプログラムマネージャーとして採用した。1億1000万ドル規模の研究資金を提供する。
環境DNA(eDNA)調査は、土、水、そして空気からでもDNAの小さな痕跡を抽出することで、科学者が生物の存在や活動を把握する方法に革命をもたらしている。その性質上、完璧な調査には向かないが、生物多様性の研究を大きく変える可能性がある。
世界初の遺伝子編集ベビーを作って3年間投獄されたフー・ジェンクイ(賀建奎)が、新たな計画についてMITテクノロジーレビューに語った。胚遺伝子編集に取り組むのは、人類の進化を変えるためではなく、自身の家族や患者たちの人生を変えるためだという。