接触通知アプリが新型コロナウイルスの拡散抑止にどの程度役に立っているのか? はっきりとした答えはまだ得られていない。しかし、アプリユーザーの評価を分析することにより、将来のパンデミックの際に役立てられるであろう、いくつかの重要な教訓を得られた。
母乳を作り出す細胞を培養して、これまでより優れた人工乳を生み出そうとしているスタートアップ企業がある。プロジェクト断念の危機に何度も瀕しながら、ビル・ゲイツ率いる投資ファンドからの資金調達に成功し、培養した細胞に母乳に似た物質を分泌させるところまで漕ぎ着けた。
環境や倫理的な問題の解決策として培養肉の作成に取り組む企業が増えているが、コストがかかりすぎることが商品化の障壁となっている。しかし、植物由来の代替肉と混合することで、両者のいいとこ取りをした「ブレンド肉」が私たちの食卓に届く日は遠くないかもしれない。
遺伝子編集技術「CRISPR(クリスパー)」を使って、感染症にかからない豚を作り出す大規模なプロジェクトが米国で進行している。理屈の上ではこのプロジェクトの手法は、人間にも適用できる。
新型コロナウイルスのデルタ株に感染した場合、入院のリスクはアルファ株に比べて約2倍になることが、エジンバラ大学医学部アッシャー研究所などの研究により分かった。しかし、同時に、現在の新型コロナワクチンが入院のリスクを大幅に下げることも示された。
「デルタ株」と呼ばれるインドで発生した変異株が、すでに英国で優勢になっている。研究者たちは、その高い感染力の秘密を明らかにするべく取り組んでおり、いくつかの仮説が浮かんでいる。
ボディセンサーを使用したウェアラブルAIを用いて、自宅療養中の新型コロナウイルス感染症患者を遠隔監視する試みが米国で増加している。患者の容体が急変する兆候をAIで検出して臨床医にアラートを出すことで、手遅れになるのを防ぐのが狙いだ。
米国で余剰ワクチンの接種を希望する250万人近くの人々が登録した無料サービスは、実際に役に立ったのか? 取材を申し入れたが、明確な回答は得られなかった。収集した個人情報の扱いも不透明だ。
新型コロナワクチンの供給が需要を上回っている米国では、ワクチン接種が受けられることをうたって観光客を呼び込もうとする「ワクチン観光」に乗り出す州が増えつつある。しかし、こうした取り組みは、公衆衛生面でも倫理面でも大きな問題がある。
欧米の科学者で構成する研究チームは、視力を失った被験者の目に藻類の遺伝子を組み込むことで、目の前のテーブルにノートが置かれたことを認識できるようになったことを医学雑誌で報告した。光遺伝学の恩恵を受けた初めての患者であるとしている。
ワクチン接種を受けたことを証明するシステムを導入する国が増えているが、同証明書は、昨年、鳴り物入りで導入され、さほど効果をあげられていない接触追跡アプリと同じような問題点をはらんでいる。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源をめぐって、世界的に著名な生物学者18人が連名で再調査を求める書簡を発表した。研究所流出説を単なる陰謀論として片づけるのではなく、科学的な立場から検証するよう求めている。
新型コロナウイルスをめぐって、強力な変異株が次々と現れるのではないかと懸念する声がある。引き続き用心しつつも、変異株を必要以上に恐れることもない。
世界保健機関の委託を受けた13人の独立専門家による委員会が、新型コロナウイルス感染症パンデミックによる大惨事を抑えられなかった理由について検証した報告書を発表した。
新型コロナウイルスに感染しているかどうかを家庭で判定できる市販の検査キットが米国で出回り始めた。使い勝手も精度もまちまちのこれらの検査キットには手軽にすばやく検査ができるメリットがあるが、思わぬ混乱を招く恐れもある。
新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増加しているインドでは、政府の支援をほとんど受けられない市民たちが、インターネットを使って酸素や薬物、医療機器などのリソースを調達しようと奮闘している。
現在、新型コロナワクチンの多くは、同じものを2回接種することが原則となっている。だが、1回目と2回目で異なる種類のワクチンを打っても、同様の効き目があるだけでなく、むしろ、免疫が高まる効果があるのではないかと指摘されている。
ワクチンを接種したにもかかわらず、新型コロナウイルスに感染する症例が米国で報告されている。だが、こうした「ブレークスルー感染」はワクチンを大勢に接種した場合には十分予想されることであり、ほとんどの人々にとってワクチンの恩恵は依然として大きい。
新型コロナウイルス感染症の患者の一部は、回復後も「ロング・コビッド」と呼ばれる後遺症に悩まされている。当初は原因が分からなかったが、最近になって自己免疫疾患である可能性を示す研究結果が出てきた。答えはまだ出ていないが、分析が進むにつれて何が起きているのか、少しずつ分かりつつある。
米国で接種が一時停止されていたジョンソン&ジョンソンの新型コロナワクチンに対し、再開するとの勧告が米国の規制当局から出された。だが、信頼回復には時間がかかりそうだ。
スタンフォード大学の科学者などの支援を受けているスタートアップ企業が、統合失調症や糖尿病、がんなどの一般的な病気が子どもに遺伝するリスクを計算する、カップル向け多遺伝子リスク・スコアの提供を開始した。こうした検査の提供が福音となる人々がいることは確かだが、科学的および倫理的な問題点も多く指摘されている。
新型コロナウイルスの変異株が、インドで猛威を振るっている。公式発表によると1日当たりの感染者数は35万人を超え、死者は3000人に達する勢いだ。しかし、研究者が計量モデルで分析した結果、1日当たりの感染者数の実数は100万人単位に達している可能性が高いという。世界各国、そしてWHOは支援を始めたが、どれほどの効果が見込めるだろうか。
より感染力が強い変異株を監視するためとして、米政府は新型コロナウイルスの遺伝子配列解析に17億5000万ドルもの予算を計上した。だが、将来も通用するような基盤を整備するといったような国レベルの戦略も持たずに、やみくもに新型コロナウイルスの遺伝子配列を集めるだけでは資金が無駄になる可能性がある。
米国では新型コロナワクチンの接種が進んでいるが、自分で予約を取れないなどの理由によって接種できていない人たちも多く残っている。ワクチン接種の予約を手助けしているニューヨーク市の地元メディアの発行人が、活動を始めたきっかけや取り組みの中身を語った。
世界を恐怖に陥れた新型コロナウイルス感染症。収束への光をもたらしたのは、史上最速で開発に成功したワクチンだった。このワクチンによって初めて実用化されたメッセンジャーRNA(mRNA)の技術は、医薬品製造の歴史をこれから大きく書き換える可能性を秘めている。