ニュージーランドのある患者に対し、CRISPRによる遺伝子編集で血中コレステロール濃度を下げる治験が実施された。この療法の効果と安全性が確認できれば、世界最多の死因である心臓発作の究極の予防法になるかもしれない。
米国の研究チームがバッタの脳を使って、「匂い」からがんを検出することに成功した。がんのスクリーニングやデバイスの開発に発展する可能性がある新研究だ。
欧米を中心にサル痘の感染者が増える中、同性愛者の間でのみ感染が広がるという偏見に基づく誤情報が広まっている。誤情報は感染状況に関する正確な情報の把握を困難にする上に、人々への正しい理解を促す上でも障害となっている。
石油王国サウジアラビアが豊富な資金を背景に、アンチエイジング(抗老化)医薬品の開発支援に乗り出す。最大で年間10億ドルの予算を持つ財団は同分野における最大のスポンサーになるかもしれない。
囲碁AI「アルファ碁」で世界に衝撃を与えたディープマインドが次に狙いを定めたのは、生体内に存在するタンパク質の立体構造予測だった。「アルファフォールド」と名づけられたタンパク質構造予測AIもまた生物学研究者に大きな衝撃を与え、医薬品開発や産業応用に大きくつながる可能性を秘めている。
ドナーから提供された肝臓の保存期間を、現在の数時間から数日間に延ばせる最新の研究成果が発表された。移植に利用可能な肝臓を大幅に増やせる可能性がある。
培養した腱細胞を人型ロボットが繰り返し引っ張ることで、細胞の成長を促進できることが分かった。実用的なヒト腱細胞につながる可能性がある。
物の表面を介した新型コロナウイルス感染の可能性は低いとされているにもかかわらず、中国政府は執拗に物の表面を介した感染の可能性を強調している。背景には政治的な思惑が見え隠れする。
新型コロナウイルス感染症で死亡するリスクが高いのは高齢者だ。そこで、免疫系を若返らせたり、老化細胞を除去したりするアンチエイジング医薬品を使った治療法が試されている。
2022年1月に実施された、遺伝子操作されたブタの心臓を人間に移植する初めての異種間移植は、2カ月後の患者の死亡という結果に終わった。移植した臓器がブタウイルスに感染していた可能性が指摘されている。
英エディンバラ大学の研究チームは、テストステロン療法を受けているトランスジェンダー男性の卵巣から卵子を採取し、体外で成熟させることに成功した。 この手法はトランス男性に対してだけでなく、不妊に悩む人たちにも役立つ可能性がある。
クリスパー(CRISPR)の共同開発者としてノーベル賞を受賞したUCバークレーのジェニファー・ダウドナ教授は、CRISPRの進む未来をどう捉えているのか? 本誌の質問に答えた。
アフリカで新型コロナウイルス感染症の死者が少ない「アフリカ・パラドックス」は、以前から謎だとされていた。だが、最新の研究で、実はアフリカでも新型コロナで多くの死者が発生していたことがわかってきた。
1990年代に急成長したものの間もなく失速した分子エレクトロニクスが再び脚光を浴びている。かつてはシリコンチップの代替を目指していたが、今はシリコンチップには不向きな用途で成長しようとしている。
MITテクノロジーレビューが発表した「ブレークスルー・テクノロジー10」の読者投票(米国版)で、もっとも多くの読者から「次に来るテクノロジー」として挙げられたのが「老化時計(エイジング・クロック)」だ。研究はまだ道半ばだが、いずれ健康状態を把握する指標として健康診断で利用されるかもしれない。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けているのは大人だけではない。重症化しづらいとされる子どもたちもまた、後遺症と見られる疾患に苦しんでいる。今できることは何だろうか。
新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ飲み薬は、次のパンデミックとの闘いでも役立つ可能性がある。米政府はすでにこの新薬を100億ドル分発注済みだ。
新型コロナウイルスは地球上でもっとも遺伝子解析が進んだ生命体となった。新たな変異株が広がったらすぐに見つけられるようになっている。
毎年何十万人もの子どもたちが、マラリアで命を落としている。グラクソ・スミスクラインのワクチンは、他の感染対策と組み合わせることでマラリアによる死亡率を70%も減少させられる。
新型コロナウイルスのゲノム研究は、新しい変異株に対する対応策を実施するのに役立っている。パンデミックによって欧米だけではなく、アフリカや南アメリカにもゲノム・シーケンシングの手法が広がり、成果をあげている。そして、さらに世界を救う可能性を秘めている。
フー・ジェンクイ元准教授は、世界で初めて遺伝子編集ベビーの誕生を主導した。その代償として、キャリアを失い、投獄され自由をも失う結果となった。その彼が、最近になって収監されていた刑務所から釈放された。
ロシア軍は現在、ウクライナ国内の2つの原子力発電所を占拠している。今後懸念されるリスクについて、チェルノブイリの事故対応にも関わったウクライナ国立放射線医学研究所の専門家が現地から語った。
意識はあるが全身麻痺状態にある男性が、脳に取り付けた電極を使って文章でコミュニケーションを取ることに成功した。男性はスープやビールを注文し、家族と息子について話すことさえできるようになった。世界初の快挙だ。
WHOは2021年10月、世界初のマラリアワクチンを認可した。1980年代から開発が続いていたワクチンがようやく日の目を見たことになる。このワクチンの効果は高いものではないが、人類にとって大きな希望となる可能性がある。
パンデミックが始まってから2年が経った。事態は好転しつつあるが、それでもなお、新型コロナウイルスのパンデミックは終わっていない。