セキュリティ関連カンファレンスである「ブラックハット(Black Hat)」に集まった何千人ものサイバーセキュリティ専門家たちは、例年とは違うタイプのセッションを目にすることになった。ブラックハットは毎年夏に灼熱のラスベガスで開催されている巨大な会議だ。新たなコミュニティでは、世界をハッキングの猛攻から守るために戦っている人々が直面している職場の問題が幅広く論じられる。
「メンタルヘルスをハックする:ハッカー・コミュニティの燃え尽き症候群、うつ病、そして自殺と闘う」や「今夜を耐えしのぐ:情報セキュリティにおける依存症」などとタイトルが付けられたいくつかのセッションは、セキュリティ担当チームが受けるプレッシャーと、働き手の健康に与える悪影響について論じるものだ。
「ここにきている人たちの多くが、ユーザーを守りたいという強い気持ちを持っています」と講演者の一人である、デュオ・セキュリティ(Duo Security)のジェイミー・トマセロは言う。「しかし、高いストレスが続く環境に置かれると、目標を達成することは難しくなってしまいます。うつ病と精神疾患のリスクが増大するためです」。
サイバーセキュリティの防御をしている人々の生活に対するこうした影響は、セキュリティに与えるより広範な影響とともに、深く懸念されている。タスクの自動化をさらに進めようとする強い動きがある一方で、サイバーセキュリティを守るためのタスクの多くは、今でも人手を必要としている。メンタルヘルスの問題を抱える働き手は間違いを犯しやすく、パフォーマンスに問題を抱えやすい。これは、不足を補わねばならない同僚たちのミスを誘発する結果にもつながる。
賞金が上がればプレッシャーも高まる
サイバーセキュリティの世界における賞金が高騰するにつれて、問題はかつてないほどに大きくなっている。ハッカーたちはいまや、クレジットカードの詳細情報や電子健康記録 …