グーグルは、非常に明確な発表をした。インドのインターネットを奪い取るつもりなのだ。
グーグルはインド事業に不案内なわけではなく、インドの鉄道駅におけるWi-Fiプロジェクトはすでに大成功している。しかし、グーグルは27日、真正面からインド市場に狙いを定める新製品群やプロジェクトを発表し、全人口約12億5000万人のうち、ネットワーク接続があるのはわずか2億~2億5000万人の市場を開拓しようとしている。
発表された製品で最も注目の新しいYouTubeアプリケーション「Go」は、特にデータ接続が貧弱な(しかも高い)発展途上国のユーザー向けに企画された。Goは映像をダウンロードしておき後からでも視聴できるが、本当の隠し技はWiredが記事にしているように、自律分散型無線ネットワークを使い、ユーザーが近隣の他の人とビデオを共有できるので、携帯電話のデータ通信量を気にしなくて済むことだ。この機能のきっかけは、グーグル幹部のインド旅行だ。インドの人々がビデオを通信ではなく、SDカードを使い回して共有しているのを目にしたのだ。
Goはグーグルがインド向けに提供した唯一のデータ節約企画ではない。グーグルが発表したChrome for Android用のデータ節約モードでは、音声や映像を強力に圧縮したり、特別に簡略化されたWebページをダウンロードしたりできる。映像用のMP4形式は67%少ないデータ量で通信でき、Webページは最終的には元のサイズのほんの10%になる。また、後で見るためにWebページをダウンロードするオプションも追加予定だ。実際には品質は落ちるだろうが、低速度の2G(第二世代)接続を利用している場合、それほど問題ではないだろう。
さらにグーグルは鉄道駅のWi-Fi無料サービス「グーグル・ステーション」の構想を、カフェやモールなど他の場所に拡大し、他の国にも展開する計画だと発表した。グーグルは人工知能で動く新型のGoogleアシスタントにヒンディー語対応を追加するつもりだ。
もちろん、こうした機能はインドのようなネットワーク接続が貧弱な国だけでなく、どこの国でも役に立ちそうだ。グーグルも同意見だろう。エコノミク・タイムズへの寄稿で、グーグルのサンダー・ピチャイCEOは、グーグルはインドでの仕事から多くを学んでおり、オフライン版のGoogleマップ等、接続性の問題に対するソリューションの多くは、西洋諸国でも評判がよいとわかっている、と明かした。
「モバイル・ファーストがますます進む世界で、インドはインターネットの未来を早々と見抜く力を与えてくれる」
しかし、間違えてはいけない。インドはグーグルにとって大きなチャンスである。グーグルが新たなユーザーに選ばれるサービスを提供できる会社になれれば、グーグルがあらゆるものの中でも一番得意なこと、つまり広告で投資を回収できるだろう。同様にフェイスブックはすでにインドで「フリー・ベーシック」という企画を試みたが、ネットワーク中立性の原則に違反し、企画は禁止された。
だがグーグルは、成功のために、できることはすべてするつもりなのだ。
(関連記事:Wired, Economic Times, The Verge, “Facebook and Google Are Racing to Supply India with Internet Access,” “How Assistant Could End Up Eating Google’s Lunch,” “India’s Blow Against Facebook Sets Up a Grand Experiment in Net Neutrality”)