どの高校でも理科の授業では、気体や液体、固体といった物質の基本的な状態を主に扱う。勉強や実験が容易だからだ。しかし、地球上では限られた状況でしか存在しないため、あまり知られていない第4の状態が存在する。
それは、気体中の原子から電子が剥ぎ取られたプラズマと呼ばれる状態である。太陽はイオンと電子の混合物であり、星間空間はほとんどがプラズマで満たされている。一方地球では、たとえば稲妻の際にプラズマが発生するが、プラズマの状態が続くのは一瞬だけだ。
しかし科学者や技術者はこの100年間、プラズマを利用して光を作り出したり(ネオンの光はプラズマである)、材料に作用させて表面の性質を変化させたりして活用してきた。
基本的にプラズマの生成と制御は難しいので、多くの場合は産業機械や専門の研究所でしか扱われない。しかしプラズマを簡単に生成し、制御できる方法があれば状況は大きく変わるかもしれない。
メリーランド大学の大学院生であるベンジャミン・バーンズは数人の共同研究者とともに、普通のキッチン用電子レンジでプラズマを作り出す方法を発見した。この手法は今後の世代がプラズマの実験をするための新しい方法となるだけでなく、プラズマの新しい応用の開発につながっていくだろう。
まずは予備知識を解説しておこう。プラズマを作る一つの方法として、強力な電場を使って分子をばらばらにするというものがある。この過程で作られたイオンは電場の影響で加速し、他の分子に衝突する。衝突の結果、原子から電子が剥ぎ取られてさらなるイオンが作られる。
適切な状況下であれば、連鎖反応が起こり、気体全体がイオン化するのだ。
バーンズらは普通のキッチン用電子レンジ(どのブランドかは言及していない)でこうした連鎖反応を起こすための方法を見い出した。電子レンジのほかに、真空状態を保持するための蓋の付いた安価なガラスフラスコを使う。
キッチ …