交通情報の更新がハイテク化している。地図サービスのヒアは、ドライバーにより正確な渋滞情報を提供するため、車両搭載センサーの情報をクラウドソースすると発表した。
ロイターによると、2015年にBMWとアウディ、ダイムラーが共同で買収したヒアは、3社が製造した何十万台もの自動車のハードウェアを利用してデータを入手する。また今後は他のメーカーからもデータの提供を受けることを計画中だ。センサー情報を分析すれば、道路状況を把握し、他の車と共有することで、カーナビの経路設定の参考情報が増える。
クラウドソーシングによる道路状況データの収集サービスは他にも多くある。たとえば、ウェイズ(現在グーグルが所有)は、情報共有を許可したドライバーのスマホアプリから道路状況のデータを取得する。また、グーグルが買収したアーバンエンジンズは、歩行者からデータを収集して、都心部の混雑を予測する。
しかし、ヒアによれば、クラウドベースで車両内蔵センサーのデータを収集する企業は、同社が初めてだという。
たとえば、ヒアのソフトウェアでは、フロントガラスのワイパーのスイッチが入ったことを検出し、道路が混雑し出す兆候と受け取り、車載カメラで仮設の道路標識を読み取ったり、工事現場を認識したりする、とブルームバーグは、記事にしている。情報は、匿名でクラウドにアップロードされ、他のドライバーとも共有される。
ヒアは、米国やヨーロッパで衛星ナビゲーションシステムを搭載する自動車の80%に地図情報を提供している、といわれている。ヒアは、さらに効率の高い経路をドライバーが選べるようにするため、他の自動車メーカーからの資金提供を望んでいる。
しかし、ヒアだけが自動車の内蔵センサーを活用する企業ではない。スタートアップ企業のシビル・マップスは、未来の自動運転車が使える正確な地図を作成する安価な手法としてセンサーを利用し始めた。コンマ.aiは、オプション装備型自動運転車の販売を強化するため、多くの車のスマート・クルーズコントロール・システムに使われているレーダー・システムを利用しようとしている。
確実に、ヒアの新構想も自律運転を目指している。ヒアのプロジェクトで特筆すべきなのは、通常は独自システムを持ちたがる自動車メーカー3社の自動車から取得したデータを連結し、クラウド上で同じ場所に保存していることだ。人間の運転でも自動運転でも、あらゆるタイプの自動車が、相互に情報をやりとりできる可能性を開く。自動車が自分で経路を設定し、運転する時代には不可欠のテクノロジーだ。
そんな大きな話はともかく、当面は自動車通勤を数分間節約できるかもしれない。
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