KADOKAWA Technology Review
×
始めるならこの春から!年間サブスク20%オフのお得な【春割】実施中
Your Car’s Sensors Are About to Shorten Your Commute

自動車内蔵センサー争奪戦
ドイツ系3社に続く米国勢

地図会社ヒアの狙いは、自動車内蔵センサーのデータをクラウドソーシングし、人間のドライバーが自動運転のプログラムに、道路状況を警告することだ。 by Jamie Condliffe2016.09.27

交通情報の更新がハイテク化している。地図サービスのヒアは、ドライバーにより正確な渋滞情報を提供するため、車両搭載センサーの情報をクラウドソースすると発表した。

ロイターによると、2015年にBMWとアウディ、ダイムラーが共同で買収したヒアは、3社が製造した何十万台もの自動車のハードウェアを利用してデータを入手する。また今後は他のメーカーからもデータの提供を受けることを計画中だ。センサー情報を分析すれば、道路状況を把握し、他の車と共有することで、カーナビの経路設定の参考情報が増える。

クラウドソーシングによる道路状況データの収集サービスは他にも多くある。たとえば、ウェイズ(現在グーグルが所有)は、情報共有を許可したドライバーのスマホアプリから道路状況のデータを取得する。また、グーグルが買収したアーバンエンジンズは、歩行者からデータを収集して、都心部の混雑を予測する。

しかし、ヒアによれば、クラウドベースで車両内蔵センサーのデータを収集する企業は、同社が初めてだという。
たとえば、ヒアのソフトウェアでは、フロントガラスのワイパーのスイッチが入ったことを検出し、道路が混雑し出す兆候と受け取り、車載カメラで仮設の道路標識を読み取ったり、工事現場を認識したりする、とブルームバーグは、記事にしている。情報は、匿名でクラウドにアップロードされ、他のドライバーとも共有される。

ヒアは、米国やヨーロッパで衛星ナビゲーションシステムを搭載する自動車の80%に地図情報を提供している、といわれている。ヒアは、さらに効率の高い経路をドライバーが選べるようにするため、他の自動車メーカーからの資金提供を望んでいる。

しかし、ヒアだけが自動車の内蔵センサーを活用する企業ではない。スタートアップ企業のシビル・マップスは、未来の自動運転車が使える正確な地図を作成する安価な手法としてセンサーを利用し始めた。コンマ.aiは、オプション装備型自動運転車の販売を強化するため、多くの車のスマート・クルーズコントロール・システムに使われているレーダー・システムを利用しようとしている。

確実に、ヒアの新構想も自律運転を目指している。ヒアのプロジェクトで特筆すべきなのは、通常は独自システムを持ちたがる自動車メーカー3社の自動車から取得したデータを連結し、クラウド上で同じ場所に保存していることだ。人間の運転でも自動運転でも、あらゆるタイプの自動車が、相互に情報をやりとりできる可能性を開く。自動車が自分で経路を設定し、運転する時代には不可欠のテクノロジーだ。

そんな大きな話はともかく、当面は自動車通勤を数分間節約できるかもしれない。

(関連記事:Reuters, Bloomberg, “How Your Next Car Could Help Make Itself Obsolete,” “This Box Could Make Your Car Autonomous for Just $1,000,” “Google Could Reinvent Commuting”)

人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
  2. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  3. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
  4. Tariffs are bad news for batteries トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製
タグ
クレジット Photograph courtesy of Here
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
▼Promotion
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る