「排出権のトークン化」でIBMが狙う、ブロックチェーン新市場
IBMは複雑で管理しづらい二酸化炭素排出権(炭素クレジット)を暗号トークンとして売買できるプロジェクトを進めている。その狙いはどこにあるのか。 by Mike Orcutt2018.08.08
世界はいま、株式や債券をはじめ、不動産や美術品など、あらゆる類の資産をブロックチェーン上で暗号トークンとして表す「トークン・エコノミー」へと向かっている。トークン・エコノミーでは大量の価値がブロックチェーン上で流通することになるはずだ——そう考えたIBMは、暗号トークンを取引するためのソフトウェア・プラットホームの構築に注力している。IBMが計画しているプロジェクトの1つが、環境保全に役立つ特別なブロックチェーンだ。
政府や企業は二酸化炭素排出量を相殺するための、いわゆる「カーボン・オフセット・クレジット(炭素クレジット=排出権の一種)」を利用している。炭素クレジットは企業などが購入・取引でき、再生可能エネルギーの生産や炭素除去といった二酸化炭素排出量削減のための資金として使われるものだ。だが、炭素クレジットは経済的価値が変動し、中には「目減り」するものもある。残念ながら「高品質」な炭素クレジットの購入には複雑で厄介な手続きが必要で、 市場外で取引しなければならない。そのため取引市場が低迷してしまう、とベリディウム基金(Veridium Foundation)のジム・プロカニック事務局長は指摘する。プロカニック事務局長によると、ブロックチェーン・テクノロジーは「より流動性や透明性の高い市場を作るのに最適な環境」だという。
そこでベリディウム基金はIBMと提携した。ベリディウム基金は …
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