量子コンピューターはまだ誕生して間もないが、その風変わりなマシンの製作者たちは、ソフトウェアの開発者たちに量子コンピューターを試してもらうことを望んでいる。量子コンピューターの回路を組むことは真の難題だ。量子コンピューターでは、1か0を表す標準的なデジタル・ビットではなく、「キュービット(量子ビット)」を使用する。キュービットは「重ね合わせ」として知られる現象によって1と0を同時に表せる。キュービットはまた、物理的に接続されていない状態でも互いに影響を及ぼすことができる。加えて、繊細な量子状態を維持できるのは、ほんの一瞬だ。従って、キュービットを活用するには従来とは全く異なるソフトウェアが必要になる。現在のところ、量子コンピューター向けのプログラムを書けるのは、高度な専門知識を有する極めて少数の開発者に限られている。
グーグルはそうした状況を変えたいと考えている。同社は最近、量子物理学の知識がなくても、量子コンピューターのアルゴリズムを作成できるソフトウェア・ツールキット、「サーク(Cirq)」を発表した。 サークはオープンソースの取り組みであり、誰でも利用でき、ソフトウェアに修正を加えられる。グーグルはサークを、同社が開発した人気のオープンソース・ツールキットである「テンソルフロー(TensorFlow)」になぞらえる。テンソルフローは、機械学習のソフトウェアをより簡単に構築可能にするツールキットだ。現 …