KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
LED Streetlights Are Getting a Dark Reception

米でブルーライト街灯に反感
赤色LED併用型の採用広がる

LEDは電気代の節約になるが、LED街灯の青みがかった白色光は、睡眠障害の原因になるかもしれない。 by Jamie Condliffe2016.09.26

発光ダイオード(LED)が安くなり、自治体がエネルギー使用の削減を推進したことで、LED街灯は全米各地の道路に次々と取り付けられている。しかしLEDを早くから採用した街の住民は、現在ある問題に直面している。LED光が好きではないのだ。

最近まで、設置されたほとんどのLED街灯の色合いは、青みがかっていた。IEEEスペクトラム誌が伝えているように、LED街灯の設置以降、人々はまぶしさや光害、野生生物への影響について不満がある。電力消費の削減に積極的に関わろうとする人々でさえ、困難な課題だと感じている。記事を執筆したジェフ・ヘクト記者は次のように述べている。

私が住むマサチューセッツ州ニュートンで2014年にLED街灯を導入する計画が発表されたとき、私は楽観的でした。私はエネルギーの節約には大賛成で、LED電球を自分のホームオフィスにつけて喜んでいました。しかし数カ月後、メーン州の田舎で1週間の休暇を過ごした後戻ってきて、私はショックを受けました。自宅の周囲が殺伐とした印象で、青みがかった強い光に照らされて、夜空の星がほとんどかき消されていると気づいたのです

 

LED光が青っぽいのは効率のためだ。ノーベル賞を獲得した青色LEDは、他の色のLEDよりエネルギー効率が高い。したがって、白色LEDは、実際には青色LEDと蛍光体の組み合わせであり、青色光を黄色の蛍光体に吸収させて再放出させている。蛍光体をさらに加えて、光をもっと暖色にもできるが、効率は下がってしまう。コストを抑えるため、多くの自治体はLED光を青色スペクトル周辺にとどめている。

しかし最近では青い街灯には問題がある証拠が積み重なってきた。夏に発表された記事で米国医師会(AMA)は、青みがかった街灯は従来の街灯に比べて「より有害な夜間のまぶしい光を生み出し、概日睡眠リズムに5倍以上大きな影響を及ぼす」という。

LEDのメーカーは、出力される光を調整できる高効率の赤色LEDを作って、問題を解決しようとしている。暖色系の新型LED街灯は自治体での採用が増えているが、自分の街が非情で憂鬱な青白みを帯びたヘクト記者のような人々にとっては、大して慰めにはならないだろう。

(関連記事:IEEE Spectrum, American Medical Association

人気の記事ランキング
  1. AI crawler wars threaten to make the web more closed for everyone 失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. From COBOL to chaos: Elon Musk, DOGE, and the Evil Housekeeper Problem 米「DOGE暴走」、政府システムの脆弱性浮き彫りに
  4. What a major battery fire means for the future of energy storage 米大規模バッテリー火災、高まる安全性への懸念
  5. A new Microsoft chip could lead to more stable quantum computers マイクロソフト、初の「トポロジカル量子チップ」 安定性に強み
タグ
クレジット Photograph by Ethan Miller | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る