ジョシュア・フェンドリーは自称、実質現実(VR)の懐疑論者だが、同時にスターウォーズ・オタクでもある。7月、たまたま上司の結婚式に出席するためにラスベガスのストリップ街に行く必要があった。ラスベガスではスターウォーズのVRを体験できることを知って、ぜひそれは試さねばと思った。
スターウォーズのVRコンテンツ「Star Wars: Secrets of the Empire(帝国の秘密)」は入場料が35ドル、プレイ時間はおよそ15分だった。フェンドリーは火山の惑星ムスタファーを訪れ、帝国の情報を収集するためにストームトゥルーパー(銀河帝国軍の機動歩兵)に扮した。背中に背負ったコンピューターに接続されたベストは敵の放火を浴びると振動した。熱、風、焦げた匂いなどの特殊効果があり、実際に手に持てるブラスター銃など実世界の物体にマッピングされたバーチャル物体もあった。ある時点で、フェンドリーは手を伸ばしてVRドロイドに触れ、実際にドロイドの感触を感じたという。この体験はフェンドリーにとって衝撃的だった。
「あの小さな世界には永遠に居続けることができました。本当にクールだったんです」。
フェンドリーのバーチャルの旅は、ユタ州リンドンに本拠を置くボイド(Void)の出張スタジオで体験できた。スタジオはグループを組んだ人が一緒にプレイできるVR専用施設だ。2016年以降、ボイドは8つのVR専用施設を開設した。ほとんどは米国にあるが、トロント、ロンドン、ドバイにも開設しており、今年中にもっと多くの施設を開設する予定だ。
ボイドのクリフ・プルーマー最高経営責任者(CEO)は、入場者数や拡張計画の詳細を明かさないが、週末や休日ともなると一部の施設には1000人を「優に超える」人が連日訪れるという。
ある意味、VRを中心とする新しいビジネスを企画することや、既存のテーマ・パークやゲームセンターで特にVRに力を入れたり、スペースを割いたりすることは馬鹿げているように思える。フェイスブックのオキュラス(Oculus)、HTC、ソニーなどの会社が強力に推進しているにもかかわらず、VRテクノロジーは大衆市場に受け入れられていない。VRヘッドセット(ゴーグル)の販売は現在厳しい状況にある。調査会社のIDCが推測したデータによると、VRガジェットの出荷数は2018年初頭の3カ月間で31%近く落ち込んだ。落ち込みの主な理由は、携帯電話を利用する安価なゴーグルがハイエンドのスマートフォンとセット売りされなくなったこと、オキュラス・ゴー(Oculus Go)のようなVRを運用するためのPCを必要としない新しいスタンドアローン型の低価格ゴーグルの販売がまだ軌道に乗っていないことだ(今年後半、特にクリスマス商戦で販売が伸びると期待されているが、期待通りに売れるかどうかは不透明)。
大半の人は自宅のリビングルームでVRを楽しみたいとやかましく要求しているわけではない。しかし、この夏、VRテクノロジーは、ゴーグルを装着してウォーター・スライダーを滑り降りたり、VRゲームをプレイしたりできるVR専用施設やゲームセンター、遊園地、その他の家族向けエンターテインメント・センタ …