米中ハイテク戦争、
次世代スパコン開発でも
つばぜり合い
中国と米国が、スーパーコンピューターの次のマイルストーンとなるエクサスケール・コンピューティングを実現しようと国の威信をかけた激しい競争を繰り広げている。エクサスケール・コンピューターの実現により、数多くの科学分野だけでなく、産業分野、軍事分野での大きな進歩が期待される。 by Martin Giles2018.07.18
6月に米国エネルギー省(DOE)が世界最速のスーパーコンピューターである「サミット(Summit)」を発表すると、米国内はお祝いムードで盛り上がった。スーパーコンピューターの処理性能における競争は今や、次の重要なマイルストーンの達成に舞台を移している。そのマイルストーンとは、エクサスケール・コンピューティングである。
今後数年のうちに、1秒間に100京(10の18乗)回の計算を実行する、つまり1エクサFLOPSの処理性能を持つコンピューターを構築しようというのだ。1エクサFLOPSは、サミットの5倍の処理性能にあたる(下図参照)。エクサスケールの機械が1瞬でできることを人手でしようとすると、地球上のすべての人間が4年以上にわたって毎日毎秒、計算をし続けなければならない。
エクサスケール・コンピューティングの驚異的なパワーにより、研究者は気候科学からゲノミクス、再生可能エネルギー、人工知能(AI)に及ぶ多くの分野で、非常に複雑なシミュレーションの実行が可能になり、進歩が加速するだろう。「エクサスケール・コンピューターは科学のための強力な道具です。(粒子)加速器や巨大な望遠鏡のようなものです」とテネシー大学のスーパー・コンピューティング専門家、ジャック・ドンガラ教授はいう。
スーパーコンピューターは、製品設計をスピードアップしたり新材料を特定したりするのに使うことで、産業界でも役に立つだろう。国家安全保障分野にも利用できるので、軍や情報機関も手に入れたがるはずだ。
エクサスケールのマイルストーンの達成は、テクノロジーのリーダーシップを巡って中国と米国の間で勃発している競争の一部だ(日本と欧州もそれぞれ独自のコンピューター開発に取り組んでおり、日本では2021年、欧州では2023年には稼働が予定されている)。
2015年に中国は、2020年末までにエクサスケールのコンピューターを製造する計画を発表した。この野心的な目標の達成が軌道に乗っていることは、この1年ほどの間のいくつかの報告によって示されている。だが、中国におけるエクサスケールの取り組みに協力する北京航空航天大学のデ …
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