気付いていないかもしれないので言っておくと、暑くなっている。暑くなっているのは地球だ。7月、8月の世界全体の気温はどちらも観測史上最も暑く、2016年は確実に最も暑い年としての記録を樹立する。しかし運がよければ、今年が例年と異なるのは、人類文明は、ようやく地球温暖化の終止符を打つ瞬間に立ち会える可能性がある。
地球温暖化への終止符は、21日の国連総会で発表された重要事項だ。総会で潘基文事務総長は、追加31カ国がCOP21パリ協定に批准したと発表した。新たに31カ国が加わり、正式な加盟国数は60となり、地球温暖化ガス排出量の約48%を占めた。
昨年、国連のCOP21気候変動会議で採択された協定の発効には、二酸化炭素排出量の55%を占める55カ国の批准が必要だ。協定発効の二大条件のうちのひとつである批准国数が達成し、もうひとつの条件である二酸化炭素排出量も達成は間近の状況だ。潘事務総長は総会で、今年中かあるいは11月開催の次回国連総会前に協定が発効されると「今まで以上に確信しています」と述べた。
COP21パリ協定の発効は歴史的な功績とされる一方で、協定の目標として世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2℃未満に抑えるには、尋常ではない努力が必要だ。まず、世界の平均気温はすでに約1℃上昇している。さらに世界の二酸化炭素排出量は少しだけ減っているが、進歩は微々たるものだ。発展途上国の二酸化炭素排出量は、次の10年間の途中までは上昇し続けると予想されている。
何よりも、国連による最近の研究で発表されたのは世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑えるには、次の15年間で約90兆ドルの費用がかかる(パリ協定の1.5℃ですら果敢な目標であるとはいうまでもない)。この目標は実行可能だと主張する声もあり、地球温暖化防止に国際法を適用すれば確実だという。しかし、多くの世界の指導者が法律に署名しても、目標が縮まることはないと主張する声も同時にある。民間資本が本格的に投入される必要もあるだろう。
潘事務総長の予想通り、パリ協定がすぐにでも発効されれば、パリ協定は国際社会の意向にとって心強いシンボルとなり、地球上に迫っている大きな脅威のひとつに対処できる。しかし、パリ協定の発効は、シンボルにしかなり得ない。結局のところ、パリ協定が実際の行動に反映されるかは国際社会の決断によって実現されるものではない。世界各国や地域の政府機関が取り組みを強化し、地球温暖化を防止する措置は政府機関が国民に与えられる最も大切なもののひとつ(国民が生きていく環境)を後押しすると理解することが必要だ。
(関連記事:The Guardian, “Have Global CO2 Emissions Peaked?” “Six Months after Paris Accord, We’re Losing the Climate-Change Battle”)