「ビットコインは従来の世界金融システムに取って代わる可能性がある」。そう考えているのなら、見通しを曇らせるような経済分析が新たに発表された。
デジタル通貨に関するこれまでの議論の大部分は自由主義者やコンピューター・オタクが担っていたが、暗号トークンが大きな人気を集めたことで、シカゴ大学のエリック・ブディッシュ教授(経済学)のような研究者の関心も呼んでいる。ブディッシュ教授は新たに発表した論文で、ビットコインの報酬システムを調査し「どれほど経済的に重要なのかという本質的限界」があると結論付けた。
デジタル通貨がすべての競争相手を駆逐することを望む「ビットコイン至上主義者」の中には、ビットコインを金(きん)になぞらえる人もいる。真の通貨としてはそれほど効率が良くないかもしれないが、価値の保存場所として機能するというのだ。しかしブディッシュ教授は、ビットコインの価値が金に近付けば、そのネットワークを攻撃して利益を得ようとする者が現れるはずだと主張する。
議論を進める前に、背景を少し解説しておく。2017年あたりのビットコインの時価総額は1000億ドルから2000億ドルの間を行ったり来たりしていた。一方、金の保有高はおよそ7兆5000億ドルだ。したがってこの点から言えば、ビットコインの「経済的重要性」は金には遠く及ばない。
そしてブディッシュ教授によれば、ビットコインが金と同等の価値を持つことはない。規模が大きくなり過ぎると、ビットコインの設計上の特性により逆の効果が生まれるというのだ。
ビットコ …