KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
経済学者も注目し始めた
「ビットコインの価値」の
本質的な限界
カバーストーリー Insider Online限定
Bitcoin’s inherent economics could keep it from ever being very important

経済学者も注目し始めた
「ビットコインの価値」の
本質的な限界

ビットコインは、経済的にはそれほど重要ではないとする経済学者が現れた。重要であればネットワークが多くの攻撃を受けるはずだが、安全性を保つために高いコストをかけているため、ビットコインは経済性に欠けるという分析だ。 by Mike Orcutt2018.07.17

「ビットコインは従来の世界金融システムに取って代わる可能性がある」。そう考えているのなら、見通しを曇らせるような経済分析が新たに発表された。

デジタル通貨に関するこれまでの議論の大部分は自由主義者やコンピューター・オタクが担っていたが、暗号トークンが大きな人気を集めたことで、シカゴ大学のエリック・ブディッシュ教授(経済学)のような研究者の関心も呼んでいる。ブディッシュ教授は新たに発表した論文で、ビットコインの報酬システムを調査し「どれほど経済的に重要なのかという本質的限界」があると結論付けた。

デジタル通貨がすべての競争相手を駆逐することを望む「ビットコイン至上主義者」の中には、ビットコインを金(きん)になぞらえる人もいる。真の通貨としてはそれほど効率が良くないかもしれないが、価値の保存場所として機能するというのだ。しかしブディッシュ教授は、ビットコインの価値が金に近付けば、そのネットワークを攻撃して利益を得ようとする者が現れるはずだと主張する。

議論を進める前に、背景を少し解説しておく。2017年あたりのビットコインの時価総額は1000億ドルから2000億ドルの間を行ったり来たりしていた。一方、金の保有高はおよそ7兆5000億ドルだ。したがってこの点から言えば、ビットコインの「経済的重要性」は金には遠く及ばない。

そしてブディッシュ教授によれば、ビットコインが金と同等の価値を持つことはない。規模が大きくなり過ぎると、ビットコインの設計上の特性により逆の効果が生まれるというのだ。

ビットコ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  2. AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る