衛星画像から地上の景色を機械学習で生成、地理学者を上回る精度
カリフォルニア大学の研究チームが、機械学習のニューラル・ネットワークを用いて、衛星写真を基に、地上の景色の画像を生成する手法を開発した。地理学者が地上写真を補間して土地の使用状況を推測する手法と比較したところ、同手法を上回る正確さの地上画像を生成できることがわかった。 by Emerging Technology from the arXiv2018.07.10
レオナルド・ダ・ビンチが、写真と飛行機が発明されるまで不可能であった詳細さで、イタリアのある区域の鳥瞰図を示すデッサンや絵画を描いたことはよく知られている。実際、そのような詳細をダ・ヴィンチがどうやって想像できたのか、不思議に思う批評家もこれまで大勢いた。しかし現在、研究者たちはこの逆の課題に取り組んでいる。地球の表面を撮影した衛星写真を使って、同じ領域を地上から見た景色を想像できないだろうか。そして、想像から作り出されたそうした人工的な画像はどれだけ確かなのだろうか。
カリフォルニア大学マーセッド校のクーチング・デンらによる研究が1つの答えを出してくれている。デンのチームは機械学習アルゴリズムを訓練して、上空から撮影した衛星画像を基に地上から見た景色の画像を生成させた。
デンらは「競争式生成ネットワーク(GAN: Generative Adversarial Networks)」として知られる機械学習手法の1つを使っている。GANは、生成モデル(generator)および識別モデル(discriminator)とそれぞれ呼ばれる2つのニューラル・ネットワークで構成する。
今回のアルゴリズムでは、生成モデルが画像を作成し、識別モデルが学習した基準に対してその画像を評価する。たとえば、生成モデルが作成した画像がキリンにどれほど似ているかといった具合だ。識別モデルの評価に基づいて、生成モデルはキリンに似た画像の生成方法を徐々に学習する。
デンのチームは、地上の実際の画像と同じ場所の衛星画像を使って識別モデルを訓練した。そうすることで …
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