ゲイリー・レバックは、マイクロソフトを攻撃するように米国司法省を仕向けた弁護士としてシリコンバレーで有名な人物だ。マイクロソフトがWindowsの支配力を悪用し、ネットスケープのブラウザーからインターネット・エクスプローラーのシェアを奪ったとして訴えたのだ。この有名な訴訟は何年も続き、こう着状態のまま2001年に終了した。これに懲りたマイクロソフトは、以降はより慎重に事を進めるようになった。
レバック弁護士は現在、カー&フェレル(Carr & Ferrell)に勤務しており、最近は欧州でグーグルとやりあっている。グーグルは昨年、オンライン・ショッピングサービスでの競争を抑圧したとして、欧州で24億ユーロ(27億ドル)の罰金を科された。
新しい世代の大手テック企業に独禁法取締官が対応する際に直面する課題について、MITテクノロジーレビューのサンフランシスコ支局長であるマーティン・ジャイルズがレバック弁護士に聞いた。
——テック業界では絶えず競争が新たな勝者を生んでいます。
人々は常にこう言います。テック業界の皇帝は自然と現れては消えていくと。そして、ブラックベリー(BlackBerry)やマイスペース(MySpace)を例にあげます。しかし、この業界の現実は、常に独占があるいうことです。AT&Tがいて、次にIBM、その次にマイクロソフトです。市場は現在、非常に成熟しています。グーグルのような企業は何年も同じ市場シェア率を維持し、新たな競争相手にしばらく遭遇していません。
——大手企業は解体されるべきでしょうか?
独禁法を執行する者としては、いきなり解体から始めたいとは決して思わないでしょう。まずは争点となっている反競争的行為について、是正できるかどうかを確かめることから始めます。是正が可能であれば、是正した後、自由市場が新たな競争を受け入れるのに十分であったかを検討します。
——是正できない場合はどうなりますか?
歴史的に、大手テック企業の独占に対して厳しい判断を下 …