17歳で失明の危機 人生をかけて遺伝子治療治験に参加
遺伝病が発症した患者にとって、実験的治療法への参加は唯一の希望だ。 by Emily Mullin2016.09.20
フロリダ州デバリー在住のゲーリー・ルワット(17歳)は先週、6カ月以上の待機期間を経て、ようやくある治験への参加を認められた。進行が早く不可逆的失明につながる難病、変性眼病に対する新治療法の治験だ。
「遺伝子療法」は、病気の原因になる遺伝子の突然変異箇所を新しい遺伝子で置換し、遺伝性疾患の進行を遅らせたり、場合によっては回復させたりすることが目的だ。だが、患者が遺伝子療法の治験に参加するには、製薬メーカーが定めた規準に合致している必要がある。指定された年代、発症からの経過時間、治療目的と完全に合致する突然変異があるのが条件になるのだ。とはいえ実験的治療にぴったり合致する患者を探すのは難しく、他に選択肢のない患者側にとっても、一か八かの賭けになる。
ゲーリーの場合、行動を起こすまでの時間はほとんどなかった。視力が衰え始めたのは2015年12月。1月にはバスケットボールをやめ、2月には車の運転ができなくなり、レーベル遺伝性視神経症(LHON)と診断された。世界で5万人に1人が発症する稀な疾患だ。
「LHONは深刻な疾患で、高い効果のある確かな治療法はありません」と治験責任者で、エモリー大学医学部のナンシー・ニューマン教授はいう。
「リスクが常に伴うにもかかわらず、患者が遺伝子療法の領域に踏み込もうとするのは、方法が限られているからだです」
ゲーリーの母ジェニファー・ルワットは、ゲノサイト・バイオロジックスが資金を提供する治験を …
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