MITTR記者が告白「私は3Dプリンターで同僚の職を奪いました」
大学生だった私は、インターンシップ生として働いた会社で自動化プロジェクトを推進し、職場の同僚の仕事を奪ってしまった。MITテクノロジーレビュー米国版編集部のエリン・ウィニック記者が告白する。 by Erin Winick2018.07.04
エンジニアリングのインターンシップは、古い立体金型を改良したり、部品の設計をしたり、企業活動とはどのようなものかを体験するものだと思っていた。まさか自分の同僚を不要な人材にしてしまうとは思ってもみなかったのだ。
大学2年生を終えた夏休みに、私は南カリフォルニアにある会社でインターンシップに参加した。インターンシップを始めるにあたって、複雑な金型の製作プロセスを効率化するために3Dプリンターを導入してほしいと上司から依頼された。私はずっと3Dプリントに夢中になっていたので(自分自身2台の3Dプリンターを持っている)、3Dプリンターの導入にワクワクした。
はじめに、会社がどのように金型を作っているのか確認する必要があったので、実際に金型を作っている人を探し出した(本名を明かさないと約束したので、彼をゲイリーと呼ぶ)。ゲイリーは金型の制作コスト、金型の寸法、なぜ金型がそのように作られているのかを知っている唯一の人物だった。このプロジェクトは彼なしでは進まなかっただろう。
ゲイリーが金型を作るプロセスや自身の役割について説明すると、金型を作ることがゲイリーの唯一の役割だということに気づいた。彼は30年以上かけてツールや部品を完璧なものに仕上げていたのだ。もし3Dプリンター導入プロジェクトが成功すれば、彼は会社で不要な人材になってしまう恐れがあった。
最初のころ、ゲイリーは親切にいろいろと話してくれた。しかし、プロジェクトの目標を伝えると、彼の声色が変わった。彼は引き続きさまざまなことを話してくれたものの、上司や会社についての愚痴もこぼした。
インターンシップ期間中、私とゲイリーはある種の信頼関係を築いた。私が質問をして、ゲイリーは多くの情報を教えてくれた。2人は会話の間、何度も笑顔を交わし、頷き合い、打てば響くようになっていた。私はゲイリーが伝えたいことを真剣に聞き入れようとする、数少ない人間だったように思う。プロジェクトがゲイリーの生活を脅かすことは、お互いに分かっていたので、少なくとも彼の言っていることはよく聞いておかなければならないと思っていた。
私たちが話し合うたびに、プロジェクトは完成に近づいていった。一方で、私はゲイリーの仕事がな …
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