KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
ニュース Insider Online限定
The productivity paradox

技術の進歩は生産性につながらない、この逆説をどう考えるか

経済指標が示すところによると、最近のテクノロジーの進歩やイノベーションは生産性の向上にさほど寄与していないという。様々な理由が考えられるが、一つの考え方として、人工知能(AI)などの新しいテクノロジーは「汎用技術」であり、マクロ経済の指標に影響が現れるのには何十年もかかるというものがある。 by David Rotman2018.06.27

国がより豊かになるためには、生産性の大幅な上昇が必要となる。生産性とは、労働および資本の投入量に対する商品やサービスの産出量の比率を示す値である。ほとんどの人にとって、少なくとも理論的には、生産性が向上することで賃金の上昇や雇用機会の増大が見込まれる。

世界の富裕国のほとんどにおいて、2004年あたりから生産性の伸び悩み状態が続いている。特に厄介なのが、経済学者が「全要素生産性」と呼ぶところの、イノベーションやテクノロジーの進歩が生産性向上に果たした役割を示す値が低迷していることだ。フェイスブックやスマホ、自動運転車、そしてどんなボードゲームでも人を打ち負かすことのできるコンピューターの時代に、テクノロジーの進歩を表す経済指標がどうしてこうも悲惨な値なのか? 経済学者らはこれを「生産性のパラドックス」と呼んでいる。

現在のテクノロジーは、実は私たちが考えているほど凄いものではないからだと主張する人もいる。 そういった見識の提唱者のトップに挙げられるのが、ノースウェスタン大学の経済学者、ロバート・ゴードン教授である。建物内の配管工事や電気モーターといったブレークスルーに比べると、現在の進歩は小さく、限られた経済利益しかあげられていないと主張する。ほかには、生産性は実際には上昇しているが、グーグルやフェイスブックが提供する価値といったものを測定する方法がまだ見つかっていないのだと考える人もいる。そういった利益の多くが「無料」とされているからなおさらだ。

しかし恐らくは、どちらの見識も実際に起こっていることを誤って解釈している。新しいテクノロジーの多 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  2. The 8 worst technology failures of 2024 MITTRが選ぶ、 2024年に「やらかした」 テクノロジー8選
  3. AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る