建設作業員は、他の肉体労働者の5倍もの頻度で仕事中に命を落としている。今、データ科学者という新しい種類の建設作業員が人工知能(AI)を活用して、事故や作業に関わる障害の予測を目指している。
ボストンに拠点を置く年商30億ドルのゼネコン企業であるサフォーク(Suffolk)。同社はいま、建設現場の写真を分析し、作業員が保護具を着用していないなどの安全上の問題を見つけ出し、画像と事故の記録を相互に関連付けるアルゴリズムを開発している。まだ微調整をしている段階だが、将来的には各プロジェクトの「リスク評価」を算出し、高い危険性が検知された場合には、安全に関する指示を出せる可能性があるという。
サフォークはまた、記録が保管されている10年分のスケジュール・データなどのさまざまな情報を解析し、プロジェクトの遅延を予測するアルゴリズムも作成している。遅延情報はビルのオーナーや下請け業者などにも伝えられる。これ以外にも、IoTセンサーのデータを活用して、作業能率を高くする方法も模索している。1つのアイデアは、コンクリート業者のトラックの所在を追跡し、トラックの到着と同時に作業員がコンクリートの注入ができるように準備することだ。
このようなデータ分析は、建設業界では珍しいものだった。建設業界はこれまで、先進的なデータ分析を受け入れるのにおよび腰だった。利益が少なく、試行錯誤で培った方法が幅を利かせる業界だったからだ。「自分自身の手でつかみ取ってきた流儀で、彼らなりの建設方法を心得ているのです」とJBナレッジ(JBKnowledge)のジェームズ・ベナン最高経営責任者(CEO)はいう。ソフトウェア開発およびコンサルティングを手がけるJBナレッジは年に一度、建設業界のテクノロジーに関する世界規模の調査をしている。「そして、彼らに別の方法を勧めて取り入れさせるのは、たいていの場合難しいのです」。
だが、労働力不足と、低い …