グーグルが、短期で高金利の個人向け融資の「給与担保型ローン」のオンライン広告を停止すると5月に発表したとき、グーグルは中立な検索エンジンではなく、編集権を行使する出版社のように振る舞うつもりなのかと疑った人がいた。
グーグルの方針が7月に発効した以上、こう尋ねる価値があるだろう。グーグルはどのオンライン広告が妥当でどれには価値がないのかを判定する門番の役割をどこまで果たすべきなのか。世界最大のインターネット検索エンジンが広告受注の判断を厳しくするとして、どこで線引きをするのか。
同じ疑問はマイクロソフトとヤフーにも当てはまる。両社とも、ある種の取り扱いに注意すべき内容の広告は掲載を拒否している(給与担保型ローンの広告は掲載している)。世界第2位の検索エンジンであるバイドゥは今年に入って、簡単な審査で医療広告を掲載する慣行で起きた悲劇(がんになった若い男性がバイドゥの広告で見つけた病院で、効果のない治療を受けて亡くなった)を批判されて以来、問題に取り組んでいる。批判を受けて調査した中国の規制当局は、広告を見直し、無許可の医療サービス事業者の広告をすべて削除するようバイドゥに命じた。
メリーランド大学のフランク・パスクアーレ教授(法学)は、グーグルは都合よく立場を使い分けているという。グーグルは、あるときは広告を配信するだけの単純なインフラとして振る舞い、別のときは掲載する広告を管理できる(するべき)コンテンツ提供者として振る舞ってきた、というのだ。
「グーグルは著作権侵害や名誉毀損を幇助(可能に)していると糾弾されると『弊社は電話会社と同様の公共サービスであり(電話が悪事に使われたからといって)電話会社を訴える人はいない』といいます。しかし『公共サービスなら、どんな広告でも配信すべきだ』といわれると、グーグルは『新聞社と同様、どの広告を掲載するかは弊社が決めること』というのです」
給与担保型ローンに関して、グーグルは自らを注意深いオンラインの守護神とみなしている。「こうしたローンにより、返済額が支払い不可能なほど高額になったり、高確率で破産したりすることが研究で明らかになった」ため、グーグルはユーザーを守るために、給与担保型ローン広告を禁じたと述べている(グーグルは本記事へのコメントを拒否)。
グーグルは公民権、デジタル著作権、金融改革の団体の大連合による提言活動からも影響を受けたようだ。2015年末、公民権・人権指導者会議などの団体は、給与担保型ローンに関連する詐欺や …