Webが身近になって「情報格差」という言葉を耳にするようになった。情報格差をなくす努力は何十年もされているし、特定の集団(高齢者や少数民族、高等教育を受けていない人)のインターネットへ接続は改善されたが、情報格差はいまだに残っている。
インターネット接続の格差がなくならないのは、米国の非都市部ではインターネット・サービスの選択肢が概して少ないからだ。ブロードバンド事業者にとって、非都市部でよりもはるかに多くの見込客がいる市街地でインフラを建設(ほんの少しのファイバーを使うだけ)したほうが大きな利益になる。また、インターネットの低い使用率は、消費者向けテクノロジーの利用傾向の原因であり結果でもある。コンピューターやモバイル機器は米国の非都市部ではあまり使われない。
米国の与党民主党も野党共和党も、インターネット接続の拡大が「よいこと」であることには同意している。大統領選でドナルド・トランプ候補はインターネット政策を発表していないが、ヒラリー・クリントン候補は、2010年までに「米国の100%の家庭が家族のニーズに見合うスピードのある安価なブロードバンドを入手する選択肢を持つ」と宣言し、明白な目標を設定している。しかし上の表が示すように、目標を達成するには、クリントン新政権がどうにかして、市街地と非都市部のインターネット利用の間にしつこく残る差異を克服する必要がある。
今年始め、国家通信情報管理局の政策分析は、格差をなくす方法のひとつとして、非都市部の住民にデジタルリテラシー教育によって、インターネットが便利あることを理解させることを提案した。いい考えだが、ブロードバンド接続を安価にするほうが、より大きなインパクトがあるだろう。どこに住んでいようと、家計が苦しい家庭ほどインターネットを使う可能性がずっと低い。そして他の国に比べて米国の中間層向けのブロードバンドのサービスプランは、平均月額が52.5ドルでかなり高い。比較対象となるプランで最安価なのはフランスで、月額19ドル以下だ。