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Humans Do Dumb Things with Smart Cities

ニューヨークの無料Wi-Fi
想定を超えた使われ方

ニューヨーク市の公共インターネットプロジェクト、乱用でサービス内容縮小へ。 by Jamie Condliffe2016.09.16

ニューヨーク市は、市内のどこでも歩行者がWi-Fiを利用できるようにしたい。しかしゴッサム(ニューヨーク市の別名)は無料インターネット接続の乱用問題に気付いた。

ニューヨーク市は1月以来、アルファベット(グーグル)の都市イノベーション部門「サイドウォーク研究チーム」が進めるプロジェクトの一環として、公衆電話ボックスをLinkNYCキオスク(オンライン接続用の厚めの看板様の設備)に切り替えてきた。現在までに約400カ所のキオスクが設置され、47万5000人以上の登録ユーザーがいる。キオスク自体はWi-Fiのホットスポットになるだけはなく、巨大なタブレット型のインターフェイスでユーザーがインターネットを利用できるのも特徴だ。

しかし、本来は地図を確認したり電話番号を調べたりするタブレット機能をタイムズスクエア(劇場街にあるニューヨークでもっとも人通りの多い場所)の真ん中で音楽を大音量でかけたり、ポルノを見たりするユーザーがいる、とブルームバーグが報じている。この種の問題の対策として、音量や画面の明るさに制限を加えたり、インターネットアクセスにフィルター(上手くいかず、 警察は今週もキオスクで自慰行為をした男を逮捕した)をかけたりした。

さらにマザーボードによれば、キオスクはホームレスが映像を観たりソーシャルメディアを使う溜まり場になったりしやすいという。ただし事実は単純ではない。ニューヨークタイムズ紙によれば、ホームレスが飲酒したり、ドラッグをしていたりする一方で、キオスクはインターネットをホームレスが利用する唯一の手段になっているからだ。

いずれにしても、住民と企業の不満は聞き入れられた。今後通行人はLinkNYCでウェブを利用できなくなる、と企画チームが14日に発表したのだ。ユーザーは今後もWi-Fiのホットスポットとしては利用できるが、タブレット機能で利用できるのは、地図や電話などWeb閲覧以外のサービスだけになる。また、サービスの反社会的な利用を抑制する手段として、たとえば時間制限を設けるといったことが検討されている。

公共の無料インターネットサービスの構築は間違いなく「良いこと」だ。また、結果から見れば問題の発生は起こるべくして起きたが、キオスクの企画チームが、完全な公共プラットフォームとして、機能を徹底的に開放したことは賞賛に値する。LinkNYCのジェンヘンズリー部長は、ブルームバーグに対して「私たちは路上の無料インターネット接続が、どう利用されるかわかりませんでした。時間をかけて変えていくつもりで構築し、指摘された問題もそのつもりで対処しました。これがダメだったのなら、何か別のやり方があったのでしょう」と述べた。

間違いなく、他の問題が起きるだろう。なぜなら、スマートシティにとって人間は愚かすぎるわけではないとしても、スマートシティは、野性的衝動、「いい考えだ、でもよそでやってくれ(NIMBY:Not In My Back Yard)」主義といった人間的な側面をすべて持ち合わせ、あたかも人間のように行動する事実からは逃れられないからだ。都市の未来を考えるとき、考慮しなければならないことだ。それは丁度、あらゆる都市がみな過去においてそうだったように。

(関連記事:New York TimesBloombergMotherboard

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ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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