サムスンやオキュラスVR(フェイスブックの子会社)などのVRヘッドセットメーカーは、ゲームやバーチャル旅行の素晴らしい3D体験を強調してVRヘッドセットを宣伝している。しかし、新しもの好きでVRヘッドセットをさっそく導入したユーザーに最も人気があるのは、2D映画やテレビ番組の視聴だった。
「実質現実(VR)分野に取り組んできた人の多くがゲーム業界出身なので、この実態は業界にとって驚きでした。VRとは何か、かなり独善的に考えていたわけです」とサンフランシスコのベンチャー投資ファンドKPCBエッジの創業者、アンジェニー・ミダはいう。フェイスブックのような大企業が大衆向けの機器を製造して事業化するには、消費者がVRヘッドセットで何がしたいのか探るのはとても重要だ。
KPCBエッジのミダによれば、ユーザーはすでにモバイル機器の小型スクリーンで映画やテレビを見ており、2Dコンテンツの新たな視聴方法に関心を持つのは当然だ、という。狭苦しい寮の一室にいても、格安航空機のシートに座っていても、VRヘッドセットで2D映像を見れば、まるで大きなスクリーンが目の前にあるかのように、視界いっぱいに映像が広がる。ネットフリックスやHuluのVRアプリでは、映像の周囲に映画館や部屋、あるいはビーチなどのバーチャル映像を映し出し、あたかも自室以外で視聴しているかのような体験もできる。2Dなら、3D映像で起き …