Adblock Plus、
広告事業に参入
邪魔な広告からユーザーを守るサービスが、広告モデルで事業を成長させようとしている。 by Michael Reilly2016.09.14
広告ブロックに関するネット上の大論争で、どちらか一方を非難するのは簡単だ。もしオンラインで、ユーザーや見込み客に広告を表示して収入を得ているなら、広告をブロックするソフトの人気にいらだちを感じるのは当然だ。一方、ユーザー側からすれば、AdBlock Plusのような広告を排除する無料ソフトを利用したくなるのも当然だ。
しかし 13日開始の新サービスでわかったのは、事態がそれ程単純ではないことだ。
アイオー(Adblock Plusの提供社)は、Webサイト運営者がユーザーに迷惑をかけなくすることを意図した同社のガイドラインに従い、料金を支払えば、広告表示を許可するマーケットプレイスを作ろうとしている。だが、マーケットプレイスの考案者はネット広告のビジネスモデルに強引に割り込むことが意図ではなく、広告売上に依存しているWebサイトに費用を負担させる一方で、ユーザーにとって、インターネットが快適な場所になるための手法なのだ、と主張している。
2006年に Adblock Plusが作られた時、詐欺まがいや魅力に欠ける広告を阻止できることから、あるいは Webサイト運営者から収入源を奪う可能性があるという理由で、Adblock Plusは一躍有名に(あるいは悪名高く)なった。Adblock Plusの開発者ウラジミール・パラントは、すぐにもっとよい方法があることに気付き 、「 許容可能な広告プログラム」を導入した。このプログラムでは、Webサイト運営者が、読者を困らせるような広告を避けることを意図したガイドラインに従う限り、ホワイトリストに登録され、広告の掲載が許可される。
新しいマーケットプレイス「許容可能な広告プラットフォーム」は、広告を厳しく審査し、Webサイトの運営者が、自分のサイトとユーザーに役立つ広告を選択できるようにしている。このスキームにより、Webサイトの運営者は広告掲載による売上高の80%を確保でき、残り20%のうちアイオーは6%分、プラットフォームと提携している 他の企業が残りを得る。
「私が本当に欲しいのは、Webが全体的に一歩譲って、Webサイト側と広告主の要求の間で、有意義な妥協に至る状況です」とパラントは11月に述べている。これがパラントのいう、オンライン広告とユーザーの間の「全面戦争」を終結させる方法だ。もし本当にAdBlock Plusが、この全面戦争を終わらせる手法なら、パラントはこの全面戦争の勝利者のひとりになる。
(関連記事:The Verge, Wall Street Journal, “The Ad Blocking Kingpin Reshaping the Web as He Prefers It,” “Facebook Can’t Win Against Ad Blockers, and Here’s the Proof”)
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- マイケル レイリー [Michael Reilly]米国版 ニュース・解説担当級上級編集者
- マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。