トランプ政権が新しいタスク・フォースの設立を発表した。人工知能(AI)に対して「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」のアプローチを押し進めるためである。
科学・技術政策担当のマイケル・クラチオス大統領副補佐官は5月10日、米国科学技術政策局(NSTC)の下に招集されたホワイトハウスの会合で、「AIに関する特別委員会」の発足を発表した。この会合では、政府のリーダー、複数の業界の代表、数名の著名なAI専門家などが一堂に会した。
AIに特化した今回の会合と特別委員会は、米国政府がAIの影響を真剣に捉えていることの現れと言える。これまで政府は、こうした姿勢を明確にはしてこなかった。トランプ大統領が選挙演説で復活を訴えた産業は、すでに自動化により分解、再整備されている。また、スティーヴン・マヌーチン財務長官は以前、ロボットとAIが人間の雇用を奪うという考えについて「兆候すら見えない」と発言していた。
しかし、AIを促進し、経済に及ぼす影響に対して計画を立てるという割には、米国以外の国が発表した巨額の資金や大胆な構想と比べて、新設の特別専門委員会は小規模に思える(「AI国際競争に勝つためにいま必要な政策とは何か?」を参照)。
さらに、トランプ政権のAIへのアプローチにおける明らかな矛盾から脱け出すのは困難だ。政府はテクノロジーに資本を投下させ、他国よりリードしたがっているくせに、包括的な計画や新しい資金 …