KADOKAWA Technology Review
×
ナップスター開発者が目指す、IoTホットスポットの壮大な計画
Mengxin Li
ニュース Insider Online限定
This company hopes its cryptocurrency can help the internet of things reach its true potential

ナップスター開発者が目指す、IoTホットスポットの壮大な計画

ナップスターの開発者ショーン・ファニングらが創業したヘリウム(Helium)は、ブロックチェーンの仕組みを利用して、安価でどこででも利用可能なIoTデバイス向けのネットワーク網を構築する計画だ。 by Mike Orcutt2018.05.24

どこかのIoTスタートアップ企業がブロックチェーン技術の分野に参入するというのを聞いて、またもや空虚な企てをたくらむ輩の登場だ、と笑い飛ばす人がいても当然かもしれない。だが、ヘリウム(Helium)の共同創業者であるアミル・ハリームCEO(最高経営責任者)に言わせると、今日の暗号通貨の世界に見られる異様な儲け話にはまったく興味がないという。実際にはその正反対で、ハリームCEOは真のIoTを構築する手段としての暗号通貨にしか興味がないのだ。この考えはあまりにも現実離れしているので、世の中の人々に理解してもらうまでには時間がかかるであろうことも彼は承知している。

ハリームCEOは、ナップスター(Napster)の共同創業者であるショーン・ファニングとともに2013年にヘリウムを創業した。現在市場に出回っているヘリウムの最初の製品は、独自の無線規格を使った通信システムだ。長距離の範囲で低消費電力での送受信を可能にし、医薬品や食品の輸送経路を追跡したり、モニターしたりするセンサーなどの機器に利用されている。ソフトウェアによって、センサーの所有者が利用するインターネット・ベースのアプリへデータが送信される仕組みだ。

IoTは多くの人たちが考えているほど具現化されてはいない、とハリームCEOはいう。少なくとも低消費電力機器の対応となると、まだまだだという。安全で安定した非常に安価な無線システムを広範囲に構築することの旨味がほとんどないからだ。既存の無線キャリアにとって、年間で1ドル未満のデータしか送信する可能性がない機器に対応するネットワークを構築するのは、とても商売にならないとハリームCEOはいう。

例を1つ挙げてみよう。ヘリウムはある製 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. The winners of Innovators under 35 Japan 2024 have been announced MITTRが選ぶ、 日本発U35イノベーター 2024年版
  2. Kids are learning how to make their own little language models 作って学ぶ生成AIモデルの仕組み、MITが子ども向け新アプリ
  3. The race to find new materials with AI needs more data. Meta is giving massive amounts away for free. メタ、材料科学向けの最大規模のデータセットとAIモデルを無償公開
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る