高すぎるコスト、カリフォルニア州の太陽光パネル義務付けに疑問
米カリフォルニア州で新築住宅に太陽光パネルの設置が義務付けられた。太陽光発電所に比べて発電コストが高く、温室効果ガスの削減政策として疑問の声が上がっている。 by James Temple2018.05.16
カリフォルニア州では今後 、ほぼすべての新築住宅に太陽光パネルの設置が義務付けられる。米国で最も厳しい環境規制を推進するというカリフォルニア州の役割をさらに拡張するものだ。
この一見良さそうに思われる建築規制の改定は、 温室効果ガスの排出削減を目的とした公共政策としては疑問だ。
カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)による太陽光パネルの義務付けは、2018年5月9日に採択され、2020年に施行される。大きな問題はコストだ。
カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネスのエネルギー経済学者、セヴェリン・ボーレンスタイン教授は、住宅の屋根に設置する太陽光発電は、太陽光発電所と比較した場合、「送電網における再生可能エネルギーを増やす手段として、はるかに高くつく」という。教授はその懸念をCECのロバート・ワイゼンミラー委員長に書簡で伝えた。
事実はこうだ。2017年の米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の報告書によれば、住宅に設置した太陽光発電システムの平均的な生涯費用は、1キロワット時あたり12.9~16.7セント。発電所規模の太陽光発電システムの費用は4.4~6.6セントなので、2倍超のコストがかかる計算だ。
これまでもそうだったように、エネルギーシステムの見直しは困難かつ信じられないほど高額なものだ。そのため研究者たちは可能な限り最大の費用対効果が得られる方法を選ぶことが欠かせないと強調している(「持続可能エネルギーへの …
- 人気の記事ランキング
-
- China built hundreds of AI data centers to catch the AI boom. Now many stand unused. AIデータセンター 中国でバブル崩壊か? 需要低迷で大量放置の実態
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
- How 3D printing could make better cooling systems 3Dプリントで製造の制約を解放、高効率な熱交換器が設計可能に
- Brain-computer interfaces face a critical test 使用者は世界100人未満、 脳インターフェイスは 本当に実用化できるか?
- The foundations of America’s prosperity are being dismantled 崩壊する科学エコシステム、 トランプ政権がもたらす 「取り返しのつかない損害」