KADOKAWA Technology Review
×
死亡した過激派バイオハッカー、肺がんの遺伝子療法も計画していた
Screenshot of Aaron Traywick from a public Facebook Live video
ニュース 無料会員限定
Before he died, this biohacker was planning a CRISPR trial in Mexico

死亡した過激派バイオハッカー、肺がんの遺伝子療法も計画していた

過激なパフォーマンスが物議を醸していたバイオハッカーのアーロン・トレイウィックが、肺がん向けの遺伝子療法の実施を計画していたことがわかった。トレイウィックの死亡によって計画は中止に追い込まれたものの、実際にメキシコの診療所で治療をするとして被験者を募っていた。 by Emily Mullin2018.05.09

クリスパー(CRISPR)自己注射のパフォーマンスで物議を醸したバイオハッカー、アーロン・トレイウィックが、ワシントンDCにあるアイソレーション・タンク(感覚を遮断するための装置)で死亡しているのが4月29日に発見された。伝えられるところによると、トレイウィックは肺がんを対象としたCRISPR療法の人体実験を計画していたようだ。

28歳のトレイウィックは、2月に開催されたバイオハック会議の聴衆の前でDIYのヘルペス治療薬を自身に注射し、メディアの見出しを飾った。トレイウィックは、誰でも入手可能な遺伝子治療を目指すとした謎めいた企業、アセンダンス・バイオメディカル(Ascendance Biomedical)のCEO(最高経営責任者)であった。

アセンダンス・バイオメディカルは、2017年10月に別の自己投与の様子を生中継で配信したことがある。HIV患者であるトリスタン・ロバーツが、アセンダンスから提供された調合薬を自身に注射している様子がフェイスブックで流れた。アセンダンスは、その治療法を遺伝子療法と呼び、ロバーツの血中にあるHIV分子が減少するよう設計されていると語った。しかし、効き目は現れなかった。注射後、ウィルス量が数週間で増加したのだ。

医学の正式な訓練を受けていないトレイウィックは、遺伝子編集技術であるCRISPRを含むと思われる実験的な肺がん治療も計画していた。治療は、米国の国境からわずか数キロに位置するメキシコのティフアナにある診療所で実施される予定であった。

クリスパー・リジュビネーション(CRISPR Rejuvenation)のWebサイトの「会社情報」のページには、この治験の宣伝やトレイウィックについて載せられている。Webサイトは直近では3月に更新されており、非小細胞肺がんの患者 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
  2. This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る