現在、世界中に何百台もの自律自動車が存在している。すべてまだ実験段階の車だ(テスラは自律型ではないので除く)。というのも、安全性が十分に証明されていないからだ。重要なことは、人を乗せた自律自動車を野放し状態にすれば、衝突事故が起きた時にその責任が誰にあるのかわからなくなるということだ。
この法的責任の問題が、自律型移動手段を取り巻く難問の1つである。自律自動車が一般に販売されるようになれば、なおさらである。だが、この問題はオックスボティカ(Oxbotica)によって進められている試みによって、解決の糸口が見つかるかもしれない。オックスボティカは、オックスフォード大学からスピンアウトした自律型移動手段を開発する企業で、無人運転の自動車がいかにデータを収集かつ共有できるかを調査している。オックスボティカは、より安全に運転をするために自動車同士が相互にデータ交換するにはどうしたらよいか、さらにそのデータを第三者である地方自治体や保険会社が利用するにはどうすればよいかを考えている。
オックスボティカのプロジェクトでは、自律移動する3台のフォード・フュージョンが使われた。それぞれの車体にステレオ・カメラとライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距)センサーが搭載され、同社の自律用ソフトウェア「セレニアム(Selenium)」によって制御されながら、オックスフォードとその郊外を走行する。3台のフォード・フュージョンはすべて無線接続によってお互いにデータを送信しあい、さらに保険会社のXLカトリン(XL Catlin)に代表されるプロジェクトの参加組織にもデータを送信する。
自動車からデータを無線で収集するという考えは目新しいものではないが、自律型移動手段は …