KADOKAWA Technology Review
×
自律自動車は保険会社と組めばもっと早く走り出す
Oxbotica
ニュース Insider Online限定
One way to get self-driving cars on the road faster: let insurers control them

自律自動車は保険会社と組めばもっと早く走り出す

「リスク評価のプロ」である保険会社と自動運転のさまざまなデータを共有することで、自律自動車の導入が早まるかもしれない。 by Jamie Condliffe2018.05.30

現在、世界中に何百台もの自律自動車が存在している。すべてまだ実験段階の車だ(テスラは自律型ではないので除く)。というのも、安全性が十分に証明されていないからだ。重要なことは、人を乗せた自律自動車を野放し状態にすれば、衝突事故が起きた時にその責任が誰にあるのかわからなくなるということだ。

この法的責任の問題が、自律型移動手段を取り巻く難問の1つである。自律自動車が一般に販売されるようになれば、なおさらである。だが、この問題はオックスボティカ(Oxbotica)によって進められている試みによって、解決の糸口が見つかるかもしれない。オックスボティカは、オックスフォード大学からスピンアウトした自律型移動手段を開発する企業で、無人運転の自動車がいかにデータを収集かつ共有できるかを調査している。オックスボティカは、より安全に運転をするために自動車同士が相互にデータ交換するにはどうしたらよいか、さらにそのデータを第三者である地方自治体や保険会社が利用するにはどうすればよいかを考えている。

オックスボティカのプロジェクトでは、自律移動する3台のフォード・フュージョンが使われた。それぞれの車体にステレオ・カメラとライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距)センサーが搭載され、同社の自律用ソフトウェア「セレニアム(Selenium)」によって制御されながら、オックスフォードとその郊外を走行する。3台のフォード・フュージョンはすべて無線接続によってお互いにデータを送信しあい、さらに保険会社のXLカトリン(XL Catlin)に代表されるプロジェクトの参加組織にもデータを送信する。

自動車からデータを無線で収集するという考えは目新しいものではないが、自律型移動手段は …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. How a top Chinese AI model overcame US sanctions 米制裁で磨かれた中国AI「DeepSeek-R1」、逆説の革新
  2. Why the next energy race is for underground hydrogen 水素は「掘る」時代に? 地下水素は地球を救うか
  3. OpenAI has created an AI model for longevity science オープンAI、「GPT-4b micro」で科学分野に参入へ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る