エヌビディア(Nvidia)のCEO(最高経営責任者)であり、億万長者でもあるジェンスン・ファンは、人工知能(AI)のアルゴリズムを動かすハードウェアを供給して富を築いた。ファンは今、AIが医学の欠かせない一部になることに賭けている。
1990年代初頭、ファンCEOは汎用コンピューターチップの限界に気付き、コンピューターゲームの勃興がグラフィックスに特化したプロセッサの需要を増大させるだろうと考えた。ファンCEOたちが設立したエヌビディアは、1990年代後半から2000年代にかけてゲーマーに向けたハイエンドのグラフィックスチップを製造して巨大な成功を収めた。
ここしばらく、ファンCEOとエヌビディアは別のテクノロジーの波に乗っている。最近のAIルネサンスの鍵となった深層学習アルゴリズムの訓練と実行のためにプロセッサを供給するのだ。深層学習には膨大な訓練データと強力なコンピューターハードウェアが必要だ。エヌビディアのグラフィックス・プロセッサーは、深層学習アルゴリズムを飛躍させるのにぴったりの並列処理を提供する。
ファンCEOは今、AIアルゴリズムが医学と保健医療に革命を起こし、病院、医師、医学薬学の研究者がエヌビディアの次の大きな顧客基盤になるだろうと考えている。「医療データは莫大な量があり、構造化されていないデータの典型でもあります。医療データのコンピューター処理は、まだごく限られたものでしかありません」とファンCEOはMITテクノロジーレビューの記者に語った。「最初に参入するのに完璧と言える分野は、医用画像です」。
医用画像を自動分析して病変を識別するのに深層学習を利用できる(原理としては、だが)という研究論文が増えている。スタンフォード大学の研究者たちは、深層学習で画像中の皮膚がんを検出できることを示した。グーグルのチームは胸部X線写真の異常を識別できることを発見した。エヌビディアによれば、医用画像の分野で最も重 …