殺人犯逮捕につながった
DNA家系図サービスの
捜査利用は許されるのか?
カリフォルニアの連続殺人犯の逮捕に、捜査当局が商用の家系図作成サービスを利用していたことが分かり、物議を醸している。捜査員は犯行現場から採取したDNAのデータをアップロードして、犯人の親戚の一人を見つけ出した後、該当者を絞り込んで犯人を特定した。 by Antonio Regalado2018.05.08
捜査員たちは連続殺人犯のDNAを、捜査の一環として、こっそりと家系図マニア100万人のDNAと比較したようだ。このDNA比較が、カリフォルニア州の神出鬼没な「ゴールデン・ステートの殺人犯(Golden State Killer)」として罪に問われている男の先週の逮捕に繋がった。
「そんなことが起こっていたなんて知りませんでした」と、家系図作成サイトのGEDマッチ(GEDMatch)の共同制作者であるカーティス・ロジャースはいう。警察の情報筋により、同サイトが捜査員によって使われたサイトの1つであることが確認されたのだ。
カリフォルニア州当局によると、捜査員たちはGEDマッチを含む複数の商用系図作成サイトを使って、1974年から1986年の間に発生した恐ろしい一連の殺人・強姦事件の犯人であるジョセフ・ジェイムス・ディアンジェロ(72)の親戚の一人を見つけ出した。その後、デアンジェロを発見して逮捕したという。
GEDマッチは広告が全く表示されない実用本位のWebサイトである。アマチュアやプロの系図学者がDNAをアップロードして比較検査し、莫大な量の家系図を効率的にクラウドソーシングするのに使われている。
同サイトは急速に成長している。ロジャースによれば、ユーザー数は今や100万人に達しつつあるという。
セージ・バイオネットワークス(Sage Bionetworks)のジョン・ウィルバンクスCCO(最高コモンズ責任者)は、警察の今回の行動はコミュニティの「不当利用」であり、プライバシー上の問題があると言っている。
捜査の全貌は明らかになっていない。捜査員は過去の犯行現場の証拠から採取した殺人犯のDNAデータをアップロードして、犯人の親戚の一人を突き止めたと思われる。
これが可能なのは、兄弟やその他の親戚の遺伝子情報が部分的に同一であるからだ。捜査員が犯人の親戚を見つけた後は、従来の方法を使ってデアンジェロに絞り込んだ。
もし、捜査員がデアンジェロのDNAデータをGEDマッチのWebサイトに本当に入力したのだとすれば、彼らはサイト上の確認用ボタンを押さなければ …
- 人気の記事ランキング
-
- OpenAI has created an AI model for longevity science オープンAI、「GPT-4b micro」で科学分野に参入へ
- Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 【1/31開催】若手研究者対象・キャリア戦略を考える無料イベント
- AI means the end of internet search as we’ve known it 「ググる」時代の終わり、 世界の知識を解き放つ 生成AI検索がもたらすもの
- 10 Breakthrough Technologies 2025 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版
- Interest in nuclear power is surging. Is it enough to build new reactors? 原発への「追い風」は発電所新設を後押しするか?