KADOKAWA Technology Review
×
大流行のDNA検査サービス、企業が本当に売りたいものはこれだ
Canadian Blood Services | Flickr
ニュース 無料会員限定
These DNA testing companies are mainly trying to sell you other stuff

大流行のDNA検査サービス、企業が本当に売りたいものはこれだ

米国で消費者直販型の遺伝子検査サービスが流行している。だが、こうしたサービスは科学的根拠が薄いことに加えて、検査結果にかこつけて様々な商品を買わせようとすることが多い。サービス利用者の遺伝子データを蓄積し、研究者に売って儲けようとしているかもしれない。 by Emily Mullin2018.05.24

消費者向け遺伝子検査の市場が急成長している。2017年、消費者直販型の先祖検査を受けた人の数は2倍以上に増え、1200万人以上に達した。

熱狂は先祖検査の枠を超えた分野にも急速に広まっている。数々の新しい検査が登場し、使用すべきスキンケア製品から最適な食習慣に至るまで、個人に合ったライフスタイルのさまざまな提案をすると主張している。だが、こうしたサービスを購入しようと考えている人は注意すべきだ。多くの場合、このような検査は結局のところ商品を売りつける手段にすぎない。検査に科学的根拠はほとんどないか、仮に存在するとしてもあやふやなことが多い。

このような検査の多くに、習慣、健康状態、その他の個人情報について質問する調査票やアンケートが付いてくるのはそのためだ。DNA検査として販売されているものの多くは、アンケートの回答の分析を拠り所にしている可能性がある。DNAは大して考慮に入れられていないかもしれない。

検査結果が他の商品やサービスを推奨する場合も、警戒を要する。「検査を販売する企業から、あなたにはこの商品が必要だと言われたら、その企業が何をしようとしているのか疑うべきです」とノースカロライナ大学医学部の医師であり遺伝学者であるジェームズ・エヴァンス特別教授はいう。

いくつかのDNA検査サービスを以下に紹介する。DNAのサンプルを送る前に、考え直したくなるかもしれない

ニュートリア(Nutria)

宣伝文句:冷凍食品を提供する有名ブランドであるリーン・クイジン(Lean Cuisine)は、DNA検査を含めた新しい食事計画サービスであるニュートリアを提供しようとしている。リーン・クイジンは、検査結果の「遺伝子マーカーが、個人に合った栄養素の摂取方法を決定するのに役立つ」と主張している。しかし、同サービスは、食べ物の好み、アレルギー、ライフスタイルについて尋ねるアンケート調査を併せて実施している。

売りつける商品:8週間で79ドルする(現在試験段階にある)ニュートリアのプログラムは、レシピ、外食の選択肢、(恐らくリーン・クイジンの商品である)調理済み食品について提案する。

科学的側面:このプログラムには、栄養士に相談できるアプリも含まれている。恐らく、DNA分析よりも役に立つだろう。米国医師会ジャ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Why handing over total control to AI agents would be a huge mistake 「AIがやりました」 便利すぎるエージェント丸投げが危うい理由
  2. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
  3. OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る