あと数年もすれば、完全な自律自動車によって、移動時間をずっと生産的に過ごせるようになるかもしれない。運転に集中せずにすむとしたら、どれほど多くのことができるか想像してみてほしい。だが、それは終始車酔いで吐き続けることがなければ、の話だ。
自律自動車はまだそれほど普及してはいないが、着実に一般消費者による使用を目指している。実際、グーグルのウェイモ(Waymo)などの企業は、公道での試験を実施している最中だ。ただ、自律自動車は、乗り物酔いの問題を深刻化させる可能性が高い。乗り物酔いは目と耳が相反する信号を脳へ送るときに起こる。つまり、耳は自動車の動きを捉えているのに、目には固定した状態の車内が映っていることで、情報がズレるのが原因なのだ。
自分が運転しているときは常に車外の動きに気をつけているので、乗り物酔いになることはないが、自律自動車では車外を気にする必要はない。しかも、運転手が必要なくなれば、乗客は車の動きを予期することがより困難になる。車内の人は直進よりもむしろ、車酔いの誘引となる後方への引っ張りや横揺れを感じることの方が多くなるはずだ。
私たちは自分では気がつかないうちに、乗り物酔いの影響を微妙に受けていることがある。車に乗っているときに、眠気を催したり頭痛や目の疲れを感じたりすることはないだろうか。ブランダイス大学で生理学を研究するジム・ラックナー教授は、これらは軽度の乗り物酔いの症状である可能性が高く、人間の手を借りずにあちこちへ運転して行ってくれるような自動車を各社が販売し始めれば、この症状はひどくなっていくだろうと述べる。
クリアモーション(ClearMotion)というスタートアップ企業は、「乗り物酔い」を非常に切迫した重大な問題だと見ており、解決策となる技術を開発している。それは、内耳に体が動いていることを感知させてしまう、自動車の動きを …