人工知能、いよいよ表舞台へ
より多くの産業が、人工知能の使用方法を模索している。テクノロジーはどう進化するだろうか? by Nanette Byrnes2016.03.29
保険・金融業のUSAAでデータサイエンス部門の責任者を務めるロバート・ウェルボーンにとって、2015年は機械学習が事業上の意味を持ち始めた年だ。変化の鍵は、改良された機械学習ツールが使えるようになったこと、データ処理テクノロジーが低価格化したこと、データ保存コストが急激に低下したことだ。こうしたテクノロジー面での発展を、USAAが持つ膨大な量のデータと組み合わせることで、数十年にわたって研究されてきたテクノロジーに突如、実用性が出てきた。
保険業、金融業、製造業、石油・ガス製造業、自動車製造業、ヘルスケア。こうした業界は、人工知能との関連が想像しにくい。しかし、グーグルやバイドゥといったテクノロジー企業が人工知能(AI)の研究所を作り、先駆的な発展を成し遂げたことを受けて、幅広い業界がAIの活用方法を研究し始めている。
AIは、事業化によって今後どう発展するだろうか? また、AIのテクノロジーは、上記のような多様な業界をどのように変えるだろうか? これらが、今回のビジネスレポートで掲げる課題だ。
現在、AIソフトやサービスを販売する業界の規模は、まだ小さい。IDCのデイヴ・シャブメール研究所長の計算によれば、2015年、認知ソフトウェアのプラットフォームを販売している企業全体(グーグルやフェイスブックなど、自社で研究している企業は除く)の販売額は合計で10億ドルだった。シャブメール所長の予測では、2020年までに、この額は100億ドルを超えるという。IBMやパランティア・テクノロジーズなど、主要な大企業を除けば、AI市場は、今でもスタートアップが担っている。ブルームバーグの計算では、その数は2600社にのぼる。
研究をスタートアップが担っているのは、「人工知能」としてまとめられているテクノロジー(パターン認識、自然言語処理、 …
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