ブロックチェーンはなぜ安全と言えるのか?その理由を理解する
ブロックチェーンは安全だといわれているが、本当にそうなのだろうか? なぜ、ブロックチェーンは安全と言われているのだろうか? 理論と社会実装における安全性を改めて確認する。 by Mike Orcutt2018.06.13
ブロックチェーンを利用する主な理由は、人々、特に互いを信用していない人々が、安全かつ改ざん不能な方法で貴重なデータを共有できることにある。なぜなら、ブロックチェーンは、改ざんを企む攻撃者が巧みにごまかそうとしても、きわめて難しい高度な数学と革新的なソフトウェア規則を使用してデータを保存しているからだ。しかし、手の込んだ数学とソフトウェア規則が凄腕の詐欺師である人間と接触し、厄介なことが起こり得る実社会では、最もうまく設計されたブロックチェーン・システムのセキュリティでさえも破られることがある。
その理由を理解するには、まず、ブロックチェーンを理論上「安全」にしているものは何かを理解する必要がある。ビットコインが好例だ。ビットコインのブロックチェーンで共有されるデータは、これまでのビットコインによるすべてのトランザクションの履歴、つまり会計台帳だ。この台帳の複数のコピーが「ノード」と呼ばれるコンピューターのネットワーク上に保存される。誰かがトランザクションを台帳に送信するたびに、ノードはそのトランザクションが有効かどうか、ビットコインを使った人物がビットコインを所有していたかどうかを確認する。一部のノードは互いに競い合って有効なトランザクションを「ブロック」としてまとめ、そのブロックを前のブロックのチェーンに追加する。ノードの所有者は採掘者(マイナー)と呼ばれる。新しいブロックをチェーンに追加できた採掘者は報酬としてビットコインを獲得する。
このシステムを理論的に改ざん不能にする理由は2つある。1つは、各ブロックに固有の暗号指紋(フィンガープリント)だ。もう1つは、ネットワーク上のノードが共有履歴に合意するためのプロセスである「合意プロトコル」の2つだ。
ハッシュと呼ばれる暗号指紋を最初に生成する作業は、膨大な計算時間とエネルギーを要する。このような仕組みで、ハッシュはブロックチェーンにブロックを追加した採掘者がビットコイン報酬を稼ぐために計算作業をした証明となる(そのためビットコインは「プルーフ・オブ・ワーク(仕事の証明)」プロトコルを使用していると言われる)。ブロックを改ざんするには新しいハッシュを生成する必要があるため、ハッシュは一種の封印としても機能する。だが、ハッシュがそのブロックのハッシュと一致するかを検証するのは容易であり、いったんノードがハッシュを生成すれば、ノードはそれぞれのブロックチェーンのコピーに新しいブロックを加えて更新する。これが合意プロトコルである。
最後のセキュリティ要素は、各ブロックに前のブロックに唯一無二のハッシュが含まれているため、ハッシュがブロックチェーン内のリンクとしても機能することだ。したがって、台帳の項目を後から変更(改ざん)したければ、その項目が含まれているブロックのハッシュだけでなく、それ以前のすべてのブロックのハッシュも新たに変更する計算が必要になる。しかも、他のノードが新しいブロックをチェーンに追加する前にその計算をしなければならない。したがって、他のすべてのノードのコンピューターよりも強力なコンピューターを持っていない限り(持っ …
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