トヨタ、自動運転研究で
MITなどに5000万ドル投資
トヨタ自動車が自動運転自動車研究を率いる最適な人物としてギル・プラットを一本釣り。 by Rachel Metz2015.09.05
日本の自動車メーカーであるトヨタ自動車は4日、スタンフォード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)に自律型移動手段の研究に関して5000万ドル均等に配分する形で、5年間にわたって資金を投資すると発表した。人間から運転方法を学習したり、人間や他の車が路上でどう行動するか予測したり、人間とうまくやり取りしたりする方法などを中心に研究する予定だ。
スタンフォード大学は意思決定や推論、センシング、知覚といったトピックを研究する予定で、MITの研究者はスマートなユーザーインターフェイスや、機械が、人間がどのように運転しているのかを理解できるように、人間から情報を収集し、分析する予定だ。
プロジェクトを率いる予定のギル・プラットはロボット研究者で、米国国防先端研究計画局(DARPA)の元プログラム・マネージャーであり、「DARPAロボティクス・チャレンジ」を組織した人物だ。プラットは、自動車以上に人間の安全や自律を確立することが人工知能研究の全体的なゴールだと語った。
MITのCSAIL(コンピューター科学・人工知能研究所)のダニエラ・ラス所長は、自身のグループの優先課題は「決して衝突を起こさない自動車を作ること」だと語った。
トヨタは4日、車がよりスマートで有能になっても、ドライバーは運転操作に関わり続けると繰り返し語り、完全自律型自動車をシリコンバレーの路上で走らせるグーグルとは異なる方向性を示した(”Toyota Unveils an Autonomous Car, but Says It’ll Keep Drivers in Control”参照)。
トヨタで研究開発プログラムの最高責任者を務める伊勢清貴専務は4日、「無人運転車ができるまでには非常に長い時間がかかる」と考えていることを、通訳を通じて語った。しかし伊勢専務は、トヨタは自律型移動手段という目標を追い続け、その過程では、運転支援のために開発されたテクノロジーを車に応用するとも述べた。
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- レイチェル メッツ [Rachel Metz]米国版 モバイル担当上級編集者
- MIT Technology Reviewのモバイル担当上級編集者。幅広い範囲のスタートアップを取材する一方、支局のあるサンフランシスコ周辺で手に入るガジェットのレビュー記事も執筆しています。テックイノベーションに強い関心があり、次に起きる大きなことは何か、いつも探しています。2012年の初めにMIT Technology Reviewに加わる前はAP通信でテクノロジー担当の記者を5年務め、アップル、アマゾン、eBayなどの企業を担当して、レビュー記事を執筆していました。また、フリーランス記者として、New York Times向けにテクノロジーや犯罪記事を書いていたこともあります。カリフォルニア州パロアルト育ちで、ヒューレット・パッカードやグーグルが日常の光景の一部になっていましたが、2003年まで、テック企業の取材はまったく興味がありませんでした。転機は、偶然にパロアルト合同学区の無線LANネットワークに重大なセキュリテイ上の問題があるネタを掴んだことで訪れました。生徒の心理状態をフルネームで記載した取り扱い注意情報を、Wi-Fi経由で誰でも読み取れたのです。MIT Technology Reviewの仕事が忙しくないときは、ベイエリアでサイクリングしています。