現代の都市に関する謎の1つは、投資、雇用、所得といった経済的要因だけでは、都市の繁栄の説明がつかないということだ。
フランスの人類学者ピエール・ブルデューは、この謎の解明に役立つアイデアを20世紀のうちに見出していた。ブルデューによれば、都市の繁栄は、教育、知性、知識といった文化的な要素の結果でもある。ブルデューはこれらを「文化資本」と名付け、文化資本が人民の成功に決定的な役割を果たしていると論じた。
おそらく、都市の成功は経済発展だけでなく文化資本に左右されるのだろう。これまでの逸話を見ると正しそうである。クリエイティブな人材や産業を呼び込んで、どうということがない地域が繁栄した例がたくさんあるからだ。
だがこの説は証明が難しい。経済的投資は測定が容易だが、文化資本は測定しにくい。文化資本が都市の繁栄に与える影響を比較するには、文化資本を測る確かなやり方が必要だ。
英国ケンブリッジ大学の博士後期課程に在籍するデシスラーヴァ・フリストヴァを中心とする研究チームは、文化資本の量と、文化資本による都市の繁栄への貢献を数値化する手法を見付け出した。
フリストヴァたちの手法はフリッカー(Flickr)に投稿された写真を利用する。さまざまな創造的活動(広い意味での文化)に結び付く単語がタグ付けされた写真だ。単語の例は、広告、マーケティング、建築、出版、工芸品、映画、テレビ、音楽といったものである。
フリストヴァたちはフリッカーで、文化に関連する単語がタグ …