誰もが暗号通貨を使える。男性であれ、女性であれ、仔馬やトースターであれ、ブロックチェーンにおいてはみんな似たもの同士なのだ。
だが暗号通貨界に、テクノロジーそのものよりもオープン性やインクルージョン(包摂性:差別なく受け入れる包括さ)に欠けるという悪評判が立ってしまった。この1月、最も長く続いているビットコイン関連イベントである北米ビットコイン会議(North American Bitcoin Conference)のプログラムには男性が数十人は入っていたのに対し、女性はたった1人。親睦の時間になると、出席者は地元のストリップクラブに招待されたのだ。
とはいえ、暗号通貨業界をリードする素晴らしい女性たちは、今や数多く存在する。その1人がアンバー・バルデットだ。バルデットは「暗号通貨の女王」とか「ブロックチェーン界のマドンナ」との異名を取る。2015年からJPモルガン・ チェース銀行で、ブロックチェーンの利用方法の開発を担当する部門を運営し、イーサリアム(Ethereum)のビジネス版であるクオラム(Quorum)の開発を監督した。そして2018年5月には、自身がCEO(最高経営責任者)を務めるブロックチェーンのスタートアップ企業、クローヴィヤー(Clovyr)を共同設立した。
仕事において、バルデットは憶説を打ち壊すのを常とする。MITテクノロジーレビューがバルデットに暗号通貨の世界におけるダイバーシティ(多様性)の状況を尋ねたところ、またいくつかの憶説が破壊された。
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——暗号通貨のコミュニティはここ数カ月、マスコミで不本意な批評を受けています。権利意識を持つ男性社会そのものだというものです。ジェンダー(性差別)問題を抱えているとお考えですか?
金融やテクノロジー、特に情報セキュリティや暗号のベン図(複数の集合の関係を表す図)を描くと、こういった分野すべてが、女性が不足し、リーダーシップの座において少数派代表であることに苦労しています。暗号通貨は、それらすべてが重なる中心に座しています。新しい研究分野に知的なディアスポラ(離散したコミュニティ)がある場合、その層のプロフィールは元々のグループから継承される傾向があります。暗号通貨は哲学的にも技術的にも新しいかもしれませんが、魔法じみた未開の実力主義社会ではありません。
私の経験では、開発者中心のブロックチェーン・イベントのほとんどの印象は、他の大半のテクノロジーカンファレンスに比べて良くもないが悪くもない、といったところです。「標準的な開発者」のステレオタイプに合わない人は通常、数パーセントの誤差範囲で15%くらいいますが、この割合は最 …